第2話 お風呂が沸いたみたいだけど、入るかい?

 俺達は家についてまず濡れたスーツを部屋に干して、スライム(仮称)や体などをタオルで拭き、部屋着に着替えて暖房をつけて風呂を沸かした。


 その際にスライムを、以前爬虫類を飼っていた際に使っていた水槽に移したのだが、土や砂利等はあまり好きではないようで、木の上に逃げていたので、空の水槽に移してやった。


 因みに今は自分の生活でいっぱいいっぱいで、最後まで責任を持って飼えるかわからないから、動物を飼うつもりはなかったんだが、見捨てられなくて結局連れてきてしまった、スライムを飼うノウハウなんて地球上に存在していないだろう、不安だ。


(ピーッ、お風呂が沸きました。)


「お風呂が沸いたみたいだけど、入るかい?」

「ピギュ?」

「あぁ、わからないか? まぁ、百聞は一見にしかずと言うし、行ってみようか?」

「ピギュギュ!」


 俺はスライムを抱き上げて、風呂場に向かうことにした、因みに段ボールごと家に連れてきたのは腕の隙間からデロンと落ちるのではないかと危惧したからなのだが、案外形がしっかりしているようで、ボールのような球形から饅頭のような形位までの変化しかなく、抱き上げてもしっかりと腕に収まり、液体ではなかったので服が濡れることもない。


「お風呂に着いたんだけど………入れる?」

「ピギュ?」

「わからないか、じゃあ、ちょっと待っててね。」

「ピギュ!」


 俺は家の風呂なのでもちろん全裸だ、スライムを呼んで温かくなるまで出しっぱなしにしたシャワーを頭からかぶる。


「ピギュ!? ピギュピギュ♪」

「お?お湯は好きなんだ?」

「ピギュ!」

「じゃあ、体と頭をを洗わないとな、頭があるのは俺だけだけど。」

「ピギュ?」

「動くなよ?」

「ピギュ!」


 傷付けたらいけないから手にボディーソープを付けて直接洗ったが、蒟蒻の様に滑ってスライムが大喜びしていたこと以外は特筆することはなかった。


 俺も頭と体を洗い、湯船に入ったのだが。


「ピギュ~♪」

「浮くんだな。」

「ピギュギュ」

「気に入ってくれたようで何よりだよ。」

「ピギュ~♪」


 暫く入っていたら、スライムは俺の頭の上によじ登って来た、心なしぐったりしているようだ、どうやらのぼせたようだが、俺もそろそろのぼせそうだったので、風呂から上がることにした。


 今現在俺の頭の上にいる湯たんぽみたいに温かいスライムにはまだまだ謎が多いようだ。

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