尚久くんは時々可愛い

@mitumame0209

第1話 冴えない系の尚久くん

私のクラスには人気者のグループと冴えないグループとそのどちらでもないグループがあります。


こんなのどこの学校でもあるかな?



「春樹マジでカッコイイんですけど!」


「梨乃ちゃんおはよー」


「…」


いつもと変わりなく私たちのクラスの1日が始まります。



「沙々(ささ)こないだありがとな、新曲聴いたけどマジ神ってたわ」

「だよね!また良いバンド見つけたら教えるね」


よろしく、そう笑いながら橘桔平(たちばなきっぺい)くんは外に出ていった。


友達とサッカーしに行ったんでしょうね。多分。

予鈴のチャイムが鳴るといつも汗だくで友達と笑いながら帰ってきます。

とても楽しそうです。


そう、桔平くんはクラスの人気者です。

ちなみに私は桔平くんの彼女です。一応。


まだ桜の残るあの日、桔平くんは私の家に訪ねてきました。ご近所に住んでいで私のママと桔平くんのママは幼なじみです。歩いて数秒の私たちはいつも2つの家を行き来していました。


付き合ってから何か変わったものと言えば、時々顔を赤くしながら好きだよと言ってくれるようになったことぐらいです。


はー、かっこよかったな。桔平くん。

そんなことをぼーっとしながら考えていると私の机の下に消しゴムが転がってきました。


キョロキョロと周りを見渡して誰のかと考えましたが誰か分かりません。


「…りさん 」

何か聞こえてその方向を見ると、隣の席の子みたいでした。消しゴムは。


「吉木くんの?はい」

そう言いながら手渡すと素早く消しゴムを奪っていった。

その後に時間差で小さいありがとうの声が聞こえてきた。


吉木尚久(よしきなおひさ)くんは誰がどう見ても冴えないグループに入る男の子です。

模範解答みたいな制服で、眼鏡をかけて休み時間に誰かと喋っている姿を見たことはありません。


勉強ばかりして楽しいのかな?

一瞬そんなことを考え、すぐに近くの友達とお喋りを始めます。





だってどっちでもいいもの。









なんてこんな喋り方する訳ねぇだろ。

気持ち悪い。


私は純情ぶりっ子の皮をかぶった性格クソ人間ですよ?




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