No.6  #物書きのみんな自分の文体でカップ焼きそばの作り方書こうよ


 こんな小さな容器に対して、時間を割くなんて馬鹿らしい。

 僕は蓋を全開にし、中からかやく、ソース、青海苔、マヨ、そして麺を床に向けてぶちまけた。乾いた音が辺りに響き、手元には空虚に満ちた容器が残るばかりだった。


 ◆


 私がいる部屋の隅に、僅かに光が差し込んだ。久々の日差しは眩しくてならない。 天から恵みの雨が降る。私の身を沸騰させるほどの熱を帯びていたが、渇きを癒していく。溺れるほどの雨はやがて引き、私は茶色い大地の上へと顔を出した。


 ◆


 正直、湯を注ぐのがやっとだった。そこに彼女の涙が数滴落ちる。

 僕が死ぬのが先か、焼きそばができるのが先か。彼女への言葉は声に乗らず吐息として漏れるだけで。

 最期に焼きそばを食したかった。ただそれだけの願いだというのに……



 ◆


 ツイッターにて「#物書きのみんな自分の文体でカップ焼きそばの作り方書こうよ」で呟いたものです。

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