第8話 動けない

「ごめんね…」

朝からキミが鳴いている…解っているんだ…。

でも…今日もベッドから起き上がれない…。


どんなに頑張っても…頑張っても…両親は借金を増やすばかり…。


もう…私財を手放すところまで選択を迫られている…。


僕も泣いているんだ…声にならないだけで…泣き続けているんだ…。


ごめんね…今日も起き上がれない。

眠ることだけが現実を遠ざけてくれる。


夢で…夢を見ていることに気づいた…でも夢から覚めるのが怖くて、僕は夢の中で夢を見続ける…そんな夢を見た…。


ごめんね…もう…僕には現実を歩くための道が視えない…。

キミの声は聴こえるよ…だから鳴かないでおくれよ…。

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