妹を、愛さない兄は兄失格であり人間失格でもある。

「おにぃちゃん!遅刻するよ。早く起きて。」

と聞き慣れた少女の声が脳裏に響き渡る。


あー、何回目何だろう?何故自分で起きれないのだ?

早く起きなくては。

と思いつつも、起きようとはしない。


「後、数分だけだ!頼むから!」心の中で少女に頼む。

が、当然かようにわかってくれず、


「おにぃちゃん、起きてってば。死んじゃったの?」

と少女は俺を起こそうとする。


「う~ん。起きる気配がないよ~

も、もしかしてキ、キスしたら起きるのかな?」

少女は唸る。


「もーしょうがないなぁ~」

少女は言いつつ、何かをやり始めた。


数分後、少女はベッドに上がって来て俺の上に跨がる。

おい、おい、これが噂の騎乗位って奴か。最高だぜ!


そして、その少女の吐息が顔にかかる。


「ねぇ、おにぃたん起きてるの?早く起きないとキ、キスしちゃうぞ!」

と少女は、おにぃちゃんから、おにぃたんに呼び方を変えた。

正直おにぃたんの方がいい。

おにぃちゃんも捨てがたいが「たん」付けは何故か心ピョンピョン跳ねる

それに、「早く起きないとキ、キスしちゃうぞ!」は意味ないぞ?

逆にされたいわ。



「おにぃたん行くよ。」

と少女は言う。

そして、だんだんと吐息が近づいてくる。興奮がとまらん。


頭を、上げるとぶつかるぐらいの間になったか?

よっし、ここは俺が唇をキスの構えに変えないとな。

と思い変えた次の瞬間


「ぐはぁ。」と俺の苦しい声が部屋中に響いた。


顔に凄く強い衝撃を感じる。


この衝撃とは、キスではなく少女の放った右ストレートだったのだ。


さち、痛かったぞ。だが、おはよう!」


「おはよう!おにぃちゃん。私は悪くないよ?

だって、おにぃちゃんが起きなかったから」


「そうだよなぁ~俺が悪い。うん、俺が悪いな。

幸は、なにも悪くない。だがな俺のことは、おにぃたんでもいいだよ?」


「おにぃちゃんってもしかして、シスコンなの?」

と尋ねる。一応反論しておく。


「いや、待て待て俺の何処がシスコンだっていうだよ?」


「じゃあ、おにぃちゃんは、私のこと嫌いなの?」

と急に悲し顔をしながら尋ねてくる。

ハハ、これがシスターブレイカーってやつですか。心が砕ける破壊力だな。


俺は、幸を抱きしめ


「世界で1番好きだぜ?」


と声を響かせた。


「バカ!何急に言っての。バカ!バカ!バカ!」

と頬を赤らめながら幸は俺から離れる。

そして部屋を出ようとしたとき


「おにぃちゃんはバカだけど、私も1番好きだよ。」

と言い残し出て行った。


「全く、妹は最高ぜ!」


と俺は叫んだ。

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