ひとこと詩
マフユフミ
第1話
泣いてもいい?って尋ねたら
空がうんってうなづいた
森の静寂は
ちっぽけな私を笑うのか
それとも抱くのか
「この道の先に何があるのか」
そんなこと知ってたら歩けない
行く先もわからずただ流れ
さえぎられ岩を割りながら
それでも止まることなく水はゆき
流れはひたすら澄んでいく
歩いても歩いても道に終わりはなくて
疲れて痛くてどうしようもないから
おもしろくてやめられない
へたくそでもいいんだよ
足首ぐねりゃあ痛いけど
歩くのなんて、へたくそぐらいでちょうどいい
さらさらこぼれる砂みたいに
どんどん言葉があふれたら
こんなに苦しくないけれど
そんなの全然つまらない
打たれても打たれても飽きず空を見上げる
私がいなくなっても川はここにある
ただそれだけのこと
紫の風
なんとなく空に遊ぶ夕方
透明でいようとすればするほど胸が痛くて
もうすでに濁ってしまった自分に気づく
炎の塊にも燃えカスにもなれない
そんな火なら消しちまえ
冷えたコンクリートにこうして座って
ただ時をやり過ごす
くやしさと苛立ちと迷いの中で
今日いくつ笑った?
ほしくてただどうしようもなくて
切なくなる幸せ
流れていく。そう思う
哀しく自由な秋の夕暮れ
上手に笑うことなんて必要ないと今さら気づく呼吸すらうまくできてない私
胸のピストルで私は私を殺した
体を貫く音がして今日が始まった
ひとつ自分に嘘をついた
全てがピンクに覆われた日
ぬるい風は突き抜けられない僕の弱さ
胸にはびこる空白を乾いた砂で埋めた
雲の垂れ込めた土曜日
花が枯れ虫を殺しキミを傷付け自分を殺す
それが私の姿
見上げた空に描くのは夢
どん底まで転がり落ちて見えたのは明日
指で描いた砂の絵は風に舞い上がり消えた
かすかに残る痛みだけがその面影を覚えてた
雨はきっとこの世界の汚れを洗い流すため放たれた最終兵器
胸の痛みと笑い声で
「あたし」を確かめる
てのひらの雪体温に溶け出す
ほのかに残る冷たさだけ存在の証
四角い空見上げ
体に青を取り込む
空はただ空のもので
私はただの観客です
両手を広げる 自分をゆるす
ほんの少し今空に近づいた
今しかないこと知っているから
視界の全て焼き付ける
見つめる目の強さ
きっと限界をブチ抜く
吐き出した言葉拾いあつめて
また空に還そう
風に散る花びら
大地が命を引き継ぐ
光に焦がれて闇を思う
たくさんの影が手の中に降りてくる
朝が来ればきっとひとり
秋の雨に濡れる葉の静けさ
傷口に響く
歩き続けるより止まらないこと
進むより戻らないこと
そしてただ信じ続けること
自由に笑って息すって
泣いて笑って歩いて
いつかつかむ
空のカケラ
舞い落ちる花びら拾って桜色
キミが笑った
ひとこと詩 マフユフミ @winterday
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