Eddy and Cafe Brown

@Nicky29

Fun Invitation from Cafe Brown

 「芽衣、Eddyの昇進祝いの招待状はこれでいい?」

 「どれ、見せて......」


 【Eddy's Promotion Bash!

 Let's Have a Good Time, Coffee and Beer with the Friends!

 Saturday, September 16th

 6 p.m.

 Cafe Brown

 RSVP to Hana

 253-555-2890

 By Septermber 10th】


 「うん! とってもいいと思うよ。さすが、華! でも、日時と時間だけは注文する前にもう一度、確認してね。」

 「ラジャー!」


 えーと、日時は9月16日(土)で、時間は、夕方6時。

 場所はうちのカフェで、来れない方は9月10日までに、Hanaまで連絡をください......と。


 よし! ばっちり。後は、ポチるだけ、と。


 「芽衣、招待状を発注したよ。送られてくるのが楽しみだね。」

 「そうね。まさか、こんなパーティをEddyの為に設けることになるなんて......長生きはするものね!」


 うん、うん。分かるよ、芽衣。 

 私たちにとってはヘタレで少しダメンズ寄りの印象が残るあのEddyが、人様の上に立つポジションに付くなんて、まったく想像すらできなかったことだもんね。

 だってよ? Eddyってば、「僕が万が一人の上に立つなんて芸当ができたら、その時はFredにStreet Fightをを申し込んでもいいよ。ははは。」て、自嘲していたのよ? そのEddyがプロジェクトマネージャーの補佐として抜擢され、しかもシニアソフトウェアエンジニアになるなんて!

 進化を遂げた真・Eddy! こうご期待ってな感じじゃない?


 「華、招待状出来たんだろ? 玄関まで聞こえてたよ。」

 「京叔父さん、お帰り。うん、今注文し終わったところ。サンプル見てみる?」

 「どれどれ......いいじゃん! カッコいい! 俺らのカフェの印象にマッチしてる。とても気に入ったよ。」

 

 よしよし、京叔父さんのお墨付きも貰ったし、これで、ひとまず安心。



  


 

 ニヤニヤが止まらない。

 先ほどHanaから、僕のパーティー招待状のサンプルがメイルで送られてきた。

 

 ふっふっふ。

 ニヤニヤしながら自分の昇進祝いパーティーの招待状を見つめるアラサー男は気持ち悪いですか? 気持ち悪いですかね? いや、気持ち悪くない......よね?


 だって、沢山の友達が僕の為にわ・ざ・わ・ざ・時間を割き、そしてパーティー会場まで足を運び、あまつさえ祝ってくれるんだよ? Hanaが招待した人たちって、もしかして天使じゃね!?


 いやいやいや、落ち着け。

 まずは、水を飲み、深呼吸をして、椅子に座ろう。

 僕は30歳を過ぎている。

 俗にいう、いい大人の部類だ。

 今更パーティーの一つや二つでガタガタ言う歳でもないだろう?      

 昇進だってこれが初めてのことじゃない。

 恥を知れ、Eddy Clark。

 大人の余裕はどこへ行った? 

 もう一度深呼吸だ。


 「スーハ―。」

............

 「スーハ―。」

............

 「スーハ―。」


 ............いいですかね?

 床の上に転げまわって喜んでも、いいですかね?


 だって、僕にとってこの招待状の意味するところ、それはズバリ、脱・ボッチdeポツーンなんだ。

 今までの僕なら、昇進しても誰も祝ってくれなかったし、気にかけてくれるそぶりすらなかった。


 なのに、今は違う!!


 と・も・だ・ちがわざわざ、僕の為にパーチ―を開いてくれるんだ!

 ボッチdeポツーンの頃じゃ考えられなかったことなんだよ!?


 さあベッドからばっと勢いよく飛び起き、カーテンを開けてもう一度メイルをご一緒に見てみましょう!


 あ~、なんて、なんて、世界は僕に優しいんだ!!


 1年前のあの頃の僕にメイルを出して伝えたい。

 怖がらずに、異世界へ足を踏み入れてみろ、このヘタレ野郎、と。


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