名階国子の国語授業

白居ミク

評論の解き方 対センター


「はーい。こんにちは。名階国子です。国語教えまーす。」

「(なんかえらい明るい先生だなあ…)よろしくお願いします。」

「まずは評論の解き方から。評論好きかな?」

「嫌いです。」

「はい、それ正しいです!役に立つことほとんど言ってません。抽象的な内容ばっかりです。だから苦手な人も多いんだけど…何かコツとか教わってきたかな?重要な文を見つけるコツとか。」

「うーん、『でも』とか『ところで』に注意する?」

「うん、そういうのね。他に、『疑問文の後が大事なところだ』とか、『ところがは重要』とか、『「ねばならない」が要注意』とかね。

でもとりあえず、私のやり方で教えるから。それって、ルールが多すぎて、解く前に忘れちゃいそう…。」

「はあ。」

「まず、評論の原則その1 『評論とは作者の主張を論理的に展開した文である。よって必ず具体例を挙げて説明してくる。』

だから具体例に要チェックね。具体例を見つけたら○とか線とか印をつけて。

具体例の前か後、たいていは前に、作者の主張の文があるから。それに、具体例だと、あまり分かりにくい言い方でもないから、何となく言ってることを理解する手掛かりになる。

難解な文もその後で読めば理解も可能。それに例を挙げるくらいだから、重要度が高くもある。だからとりあえず具体例を見つけたら要チェック♡」

「…はあ。」

「はい、原則その2 『大抵一つの言葉を持ち上げている。』これがキーワードね。

文学者は言葉が大好き。一つの評論には一つの造語、あるいは斬新な新解釈の既存語をぶっこんできます。

これ、問題でよく聞かれるところ。キーワードだから、大事ね。キーワードの意味をうまく説明できるのは大事。」

「うんうん。分かります。」

「はい、あと一つだけコツでーす。

センター国語の鉄則から。

センターは基本間違い探しです。だから、設問を読んだ時に、本文と違う事が書いてあれば×、?と思ったら△、これあってる!と思ったら、○をつけてね。

えっ?記号が子供っぽい?本文分かりにくいから考えずに分かるような分かりやすい記号がいいの。もちろん他の考えてもいいわよ。

それから問題文に罠が仕込まれていることがありまーす。つまり、問題文で聞いている通りの事に答えている選択肢が○。だから、何を聞かれているかに注目して必ず聞かれている言葉に印をつけること。○とか□とか。

作者の意図通りのことがそのまま書かれているとしても、問題文で聞いてることと別のことが書いてあったら×です。これ罠ね。

はい以上。もう問題行って大丈夫ね。あ、センターでは、倫理的に見て苦情が来そうな選択肢はバツだからそれも落として。じゃあ、

これとこれとこれ。はい、大問一問20分で。間違いが3問以内に収まるようになったらまた次の細かいコツに行くから。」

「え?もう問題ですか?」

「うん。現文に必勝法なんてほぼないから。読解力は日々の読書で培われるから、簡単には底上げできないしね。問題たくさんやった方がと・く・。」

「名階先生って、どの人もなんか結論早いですよね…。もうワンステップ入れて下さったら、もう少し心穏やかなんですけど…。どの先生もすごく授業短いような気がするんですけど…。なんか焦って授業終わろうとしてるような…。」

「ん?私名階っていう名字だけど、結婚して変わった名字だから、一族じゃないわよ。」

「血がつながってるとしか思えませんでしたよ!」

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