斉藤今日子ちゃんの消失
@kairyuukai
第1話:クリスマス
光陽園学院一年のとある教室
「……」
窓際の自分の席で読書をする一人の女子生徒
「なあ、キョン。」
「……」ペラ
後ろの席の男子生徒に呼ばれても振り向きもせずに読書を進めるキョンと呼ばれた女子生徒
「おーい」
「……」
「おいって」ペシッ
少女の頭めがけ弱めにチョップする男子生徒。
「イタッ!って夏彦、どうしたのですか?」
男子生徒、いや
「お前なぁ、人が呼んでるんだから気づけよ」
「ごめんごめん、それで?」
「さっき翔と話したんだけどクリスマスパーティーやらないか」
「パーティー?別にいいと思うのですけど…三人だけ?」
「いや、大川さんも呼ぼうとは思ってる」
「姫ちゃんも…じゃあ、やろうかな?」
「そうこないとな!」
「で、場所はどこなのです?」
「場所は、翔の部屋だ。」
「日暮君ちか…良いんじゃないかな?」
「よっし。じゃあ、後で大川さんに連絡お願いな」
「はいなのですよー」
「ということで姫ちゃん、クリスマスの予定あるのです?」
お手洗いから帰ってきた
「別に予定はないですよ。と言いますか、今日子ちゃんからのお誘いなら予定があってもキャンセルしますけど」
「そ、その場合はそっちを優先してもらっても構わないのですけど…」
「いいえ、いくら日暮君と涼宮君といえど、思春期の男子なわけです。飢えた狼です!」
「そう、なの?…そうなの、かな?」
「誰が狼だ。」
大川さんの背後に立ち丸めたノートでポコッと叩く夏彦
「イタッ、あら、涼宮君。それに日暮君も」
「さすがにそうなった場合はパーティー中止にしますよ。今日子さんの両親も心配なさるでしょうし」
少々苦笑い気味に
「そんなことないと思うのです。うちの両親、基本的にクリスマスは二人で出かけて色々と楽しむのです」
「仲がいいみたいですね」
「仲が良すぎて何故妹か弟がいないのか不思議なぐらいなのですよ」
「てことは、今日子ちゃん。いっつもクリスマスは一人ですか?」
「ううん、従弟の家が近くにあるわけで、そこの家族と過ごすのです。まあ、その従弟もどうやら今年は友達のクリスマスパーティーに参加するみたいなのですけど」
「なら、都合がいいじゃないですか。ね?涼宮さん」
「まぁ、そうだな。うちの姉もどっかでかけるらしいし」
「あれ?ハルヒさんもパーティーに呼ばれてるのです?」
「意外ですね。」
「いや、山籠もりでもするんじゃないか?なんかロープや、寝袋とか準備してたし」
「なんでクリスマスに山籠もりなのですか?」
「…もしかして、サンタ捕まえるとかですかね?」
「さすがに涼宮さんでも、そんな事しないでしょう」
「…いや、あの姉ならやりかねない…」
「ま、まあ、ここで涼宮さんの事を議論するより今はクリスマスパーティーについて色々決めましょうか」
「そう、ですね…それで場所は翔君の家でやるとして、せっかくのパーティだし何か豪華なものでも用意しませんか?」
「ターキーとか?」
「おっ!良いなそれ!じゃあさ、ケーキ!あそこにしようぜ!鶴屋堂のブッシュ・ド・ノエル」
「良いですね良いですね!でも今から予約して買えますかね?」
「んー…それあたしが何とかするのです」
「え?大丈夫なのか」
「多分、大丈夫。無理だったらゴメンなのです」
こうしてパーティーの予定を決めていき…クリスマス当日になった
「せーの」
「「「「メリイイイクリスマース!!」」」」
「おぉ、これがターキーか」
「ちょっとカタいけどおいしいのです」
「おぉ、噛めば噛むだけ味が…ターキー美味いな!」
「なら、わざわざ通販した甲斐があったものです」
「ほんと美味しいですね…でも、今日子ちゃん。よく買えましたね。あのあと、私も気になって調べたんでしたけどもう予約受付終了でしたよ」
「うん、あたしも無理かなって思ったのですけど。鶴ねえがちゃんと用意してくれてホントビックリなのです」
「鶴ねえ?」
「お礼にこのパーティに招待しよっかなって思ったのですが、先約があったみたいなので…うん、美味しい。」
「じゃあ、その鶴ねえに感謝をこめて乾杯でもしますか」
「「さんせーい!」」
「鶴ねえに「「「かんぱあああああああい!!」」」」
………
「じゃあ、大川さんは僕が駅まで送りますので、今日子さんの方はお願いしますね」
「おう」
「じゃ、キョンちゃんまた来年、よいお年をということで」
「うん、姫ちゃん良いお年をー」
日暮君のマンションの前で二人と別れ、キョンの家の方向に向かって歩き出したキョンと夏彦
「…楽しかったな、パーティー。」
「うん、とても楽しかったね」
「……お前、変わったよな。最初の時と比べて」
「え?…どっちかっていうと夏彦の方が変わったと思うわけで、今日の事だって、あの時の夏彦なら翔君と計画もしなかったと思うわけで、でも…」
「ん?」
「ありがとう。もし、あの時夏彦が話しかけてなかったら私は前と同じだったと思うのです…だから、ありがとう」
「お、おう。どういたしまして」
夏彦のあやふやな返答に笑み浮かべたキョンはそのまま歩を進めた
続く
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