第14話 -くーちゃん-
*前回のあらすじ*
角を曲がったら炎の巨人がいた。
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体長は2メートルをゆうに越しているであろう巨人。全身を炎に包んだ「ソイツ」はこちらに顔を向ける。暑いはずなのに全身から冷や汗が噴き出す。本能がヤバイと告げている。ゆっくりと巨人がこちらへ向かってくる。足がすくみ、動けない。やばいやばいやばい、そこらの神話生物なんかと比にならないくらいヤバイ。
ソイツは俺の目の前まで来ると立ち止まる。ここまでか…異世界に召喚されてから一日しかたってないけど楽しかったよ…さらば異世界生活――
「わぁっ、猫耳だ~!外からのお客さんとか初めてだよー!スーちゃん思い出すわー♪」
巨人はかわいらしい顔でそう言った。
…え?えと、え?
「あんた俺を殺さないのか?」
「なんで久々のかわいいお客さんをわざわざ殺すのさー!あ!そーだ!せっかく来たんだからお茶しましょうよ!ね、ね、いいでしょう?猫耳のカワイ子ちゃんっ」
…とりあえず命は助かった…のか?
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さて、見た目に似合わないかわいい声の巨人さんに案内されて洞窟の中を下へ下へと降りてゆく。
「あ、そうだ。猫耳のカワイ子ちゃん?名前はなんていうの?」
そいやまだ名乗ってなかったっけな。
「俺の名前はイアルだよ、巨人さん。」
「わぁ~、オレっ娘だーっ!あ、私の名前はねっ、クトゥグアっていうんだ!くーちゃんって呼んでくれていいよ!」
くーちゃんね。うんう…ん!?クトゥグア!?旧神の!?え、え…あ、うん。きっと名前が同じだけだよな。まさかね、炎の神なはずないもんね。
「あ、そろそろつくよー!えっとね~、ここをこうしてー…」
と行き止まりになった洞窟の壁に向かって何やらごそごそとやっている。
「あ、いったいった。ちょっと後ろに下がっててね~」
と、洞窟の先。行き止まりになっている壁に亀裂が入る。ゴゴゴ…と重い音を立てながら二つに割れていき…縦2M、横1Mほどの穴ができた。そしてその先には…
「わー!まってたよ!イアルちゃん!ささ、遠慮なく上がって上がって!」
床全体が紅いクッションでできているような20M四方ほどの部屋。その中心には…
炎のドレスをを身にまとった少女がいた。
「え、あ、お邪魔します。」
わ、やば。足元超ふっかふかなんだけど!あ、後ろの壁閉じちゃった。巨人入ってきてないけどいいのかな。
「あ、ちゃんとした自己紹介はまだだったね!ではでは…私こそ!神にあらがいし暗黒神に仕えし神が1柱!炎の神!クトゥグアである!」
「あ、えと、俺はその暗黒神に異世界飛ばされたイアルです。」
はい、現実逃避失敗。
俺の前には旧神の1柱、前の世界ではニャルラトホテプの天敵。古の異形の神と恐れられたクトゥグアがいます。
…助けてニャルパンマン。
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