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おじいさんは山へ芝刈りに


おばあさんは川へ洗濯に


分業化した己の役割を全うするため、それぞれの仕事場へ向かった



おじいさんが山で芝刈っていると、どこからか獣の鳴き声がきこえてきた

これは熊の声だ

これはいけない、子育て中の熊を刺激してしまったと悟ったおじいさんは、足早に来た道を戻る

しかし敏感な時期の熊の手からおじいさんは逃れることはできなかった

「ばあさんや…わしはどうやらここまでじゃ…………すまん……」



おばあさんが川で洗濯始めると、川上からどんぶらこどんぶらこと巨木が流れて来た

先日の嵐でなぎ倒された木の残りだろう

おばあさんは木を見送りながら洗濯を続けた

しかしおばあさんはもっとよく気を配るべきだった

嵐が残した置き土産は先の巨木だけではなかったのだ

巨木によってせき止められていた土砂らが濁流となってのんびり着物伸ばすおばあさんの背後から襲いかかる

「ごぽっ……じ、じぃさっ………」





めでたしめでたし

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