捜査記録 01:目の前から妻が——、消えた。

*——「 半蔵門分署」 発足——*

No.1 ⭐︎———序章———⭐︎


 その日、私の妻は目の前から消えた———。


 東北地方太平洋沖を襲った大地震のあったに、私の妻は、私の目の前で真っ黒な霧にさらわれた——。


 それは一瞬のことであり、訳のわからないままこの大都会「東京」のから——、消えた。



 あれから五年——、妻はまだ戻ってこない。


 そして、あの日を境に、日本のどこかしこで、妻と入れ替わるようにして、何人もの男や女がやって来た——、そう突然に、迷い込むように。


 私は、そのものたちに妻の写真を見せて、訊ねた。

 それは、老練な叩き上げの刑事デカがする地取り捜査の要領で。


 ——この女に見覚えないか? どっかで見たことないか?

 

 彼らは力なく頭を振るだけだった。

 

 すると私の配下のものが、彼らを暗く湿気臭い地下道を通って、どこかへして行った。


 その後ろ姿を見送りながら、私は呟く。


       夢々、また迷い来るべからず———。



「迷い人」を、元の場所に送り帰し……、

「迷い人」を、探索し連れ帰ること——、それが私の仕事シゴトだ。


 

 私の名は、「千葉ちば 蒐一しゅういち」——。


 『公安警察 半蔵門分署ー時空捜査班』——、通称00ゼロゼロ

  コードN0,001 「裏理事官」、もしくは「キャップ」とも呼ばれている。



 ——キャップ、また一人ッ!!


 私はまた今日も、少しばかりの期待を持ってその「迷い人」を取り調べる。


 の手掛かりを求めて——。

                      


 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る