第30話 男は顔?
男は顔じゃないよな、顔じゃ。そりゃ
そんなはずないんだけど……
だって俺、昔から 「まぁるい
材料の半分は同じなのにさ
俺が三平の1人、
親父の幼なじみ
さすがに、どうして親父の兄弟を探しに来たのかは話せなかった。話すわけにはいかないよな。だって 「かなり重要な参考人」 として警察が捜してるんだぜ。そんなことは知りたいと思わないだろうし、知らない方がいいに決まってる。すでに親父は死んでいて、そのくせ殺人事件の 「かなり重要な参考人」 になっているだなんて。
けど親父が事故で死んだことは話した。おっさんは誤魔化してたけど、やっぱちょっと寂しそうだった。ひょっとしたらいつか会えるかもしれないとか、思っていたのかもしれない。すげぇ残念そうだった。俺だって 「元気にしてますよ」 とか 「次は親父と一緒に来ます」 とか言っておっさんが喜ばせたかったよ。無理だけど。
でも面白いことを教えてくれた。三つ子の真ん中、
「そういや庸平も子供連れていたな。そうそう、たぶん前とお前さんと同じくらいの歳じゃないかな? 男の子」
つまりその子は俺の
正直、複雑
さすがに名前までは覚えてないって話だったけど。
なんか思い出とか結構詰まってる感じで、さすがにこのおっさんから写真を借りることは出来なかった。出来ないで感傷っぽいものに浸りながら家に帰ってきたんだけど、家のすぐ近くでまたおっさんとぶつかった。
「ああ、ごめんごめん」
あれ? この声、聞き覚えがある……と思ったら、またこのおっさんか! もう何度目だよ、ぶつかるの。しかも今日はおっさんからぶつかってきた。もう、なんなんだよ、このおっさんは! なんでこう、いっつもいっつもうちの近所にいるわけ?
「
またかよ? 親父は帰ってきませんよ。帰ってこられるわけないだろ? 死んでるんだから。ほんと、一度墓にでも案内してやろうか? そんなに親父の顔、拝みたいなら拝ませてやるよ。
遺影だけど
まったく、なんでこう人ん家の事情に口出しするかな。親父が帰ってこようと来まいと、見ず知らずのおっさんには関係ありません。ってか、おっさん、親父になんか用? なんか話でもあるわけ? そもそも知り合い?
そのうち
「遅かったな」
噂をすれば影、だっけ? 玄関を入ったら、また清隆が通せんぼでお出迎え。でっかい図体で玄関塞いでるんじゃないよ、このお馬鹿。
一応途中で携帯電話から家に連絡入れて遅くなることは言ってあったから怒られなかったけど、やっぱ母さんは機嫌が悪い。いや、大丈夫。俺は道を踏み外したりしないから。ま、ちょっと蛇行はするけど、ぐれることはないからご心配なく。宿題もこれからやりますからご心配なく。
結局問題は指紋じゃなくて顔だったわけだ。それが昨日、今日と出掛けた収穫だ。人間顔じゃないっていうけど顔だったんだよ、今回ばっかりは。双子の可能性は俺も一度は考えたけど、まさか三つ子だったとは予想外。
イレギュラーだよ
今は多少違う顔をしてるかもしれないけど、元は三つ子。写真で見た子供時代はそっくりだったから、きっと今も結構似てると思うんだ。だからたぶん、庸平さんと
間違いない
で、問題はここからなんだよな。どうやってグラスに付いていた指紋が、親父じゃなくてこの2人のどちらかの指紋だってことを証明するか。一卵性の三つ子でも指紋は絶対に違うんだから、雪緒の父親がどっちかわかればあとは警察が調べてくれるはず。ちょっと他力本願っぽいけどさ、仕方ないじゃん。
高校生の限界だよ、これが
親父みたいにもう死んでるってことはないよな。うん、これはない。少なくとも事件の直前、あの店にいたわけだし。6年前には駐車違反して違反切符切られて、そもそもの原因作ってくれて……あれ? なんだ? 何か今、引っかかったんだけど……なんかおかしくね? ……つづく
【後書き】
もうちょっとで終わりだ、たぶん。頑張れ、俺!
真実はすぐそこ、そこにあるはずなんだ!!
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