奪還作戦
でも貴方はやらずに後悔するほど後悔することは無いって口癖のように言っていたよね
2021年、東京オリンピックが多大なる栄光と栄誉を見せつけ誰もが終わって欲しくないと願っていたオリンピックも終わり1年が過ぎようとしていた。しかしここで悲劇は終わった訳では無い。いや始まろうとしているのが本当だった。元旦に日本の大和政権は憲法第九条を全面破棄、徴兵令も復活し遠い出来事の悲劇の日本に戻ろうとしていた。そしてその報道に追い打ちをかけるようにTwitterでトランプ大統領は賞賛の声を上げる。それが引き金となり北朝鮮、韓国、中国、ロシア、そしてそれに機会を乗っ取ったイスラム国(通称Is)がアメリカ、日本、オーストラリアの連合軍に宣戦布告を表明した、第三次世界大戦の発端である。そして核兵器が造られ落とされ、世界は混乱の一途を辿っていく。人が捨て駒のように死んでいき、新しく開発された魔法能力も悪用されて破滅の道に使われていく。そしてその第三次世界大戦で全世界の死者は六十億人を越えようとしていた。滅びた国も少なくはない、アルジェリア、インド、北朝鮮、カナダ、グリーンランドなどはもう荒野になって、天変地異を引き起こしていた。そしてその核兵器の天使と悪魔の大戦争ハルマゲドンはアメリカ、否、全世界で発達し、太平洋の真ん中に君臨している文明、ハルベロスで終止符を打たれようとしていた。それにはハルベロスも中立を守っていたが黙っているわけには行かなかったのだ。ハルベロス軍も宣戦布告を表明。第三次世界大戦及び後に語られる“契約革命”の始まりだった。
ハルベロス軍は魔法を中心的に使うスタンダードで強力な軍隊だが世界を敵に回したハルベロスはアメリカ、日本、ロシアが中心となる軍隊、銃も昔より大幅な発達に成功しており、五分五分と言った所であろうか。ハルベロスの都市、ネオで血が流れ、人が死んでいく、ハルベロス軍の兵も全身全霊を込めて魔法で戦った。しかし魔法の供給部分で、心臓とも言えるハルベロスの秘宝“ブルーアイズ”がアメリカが開発した空間立体支配魔法に侵され力を失い一気にハルベロス兵達は劣勢に立たされてしまったのだ。どうにもすることも出来なかった兵は銃で蜂の巣にされて大量の血飛沫をあげて死んでいく。まるで生き地獄だ。戦闘機が爆弾を落とし、大量の人間が消し飛ばされていく。ハルベロスはもうこの事態をどうにかする以外満身創痍な状態であった。
しかし
そのブルーアイズの魔法の供給は必要なく、どんな状況にでも対応できる“禁忌の兵士”成るものが存在していた。それが契約者。
契約者は穢れた存在とされているために世の人間から迫害を受ける存在、つまり現代版のえたひにん。という訳に成るのだ。
しかし今の状況を打破するには契約者の存在が不可欠、本来契約とは力を持つものが武器と契約を契ってその力を何倍にも増幅させる禁断魔術。ご最も常人は契約などしたら体が負けて人外、最悪の場合体が消し飛んでなくなる。でもこの血に汚れ、間違った正義を貫き通している世界を正さなければならぬとハルベロスは決意する。ハルベロス国は特別に契約者の存在、平等を許可した。
ーー契約者は悪から正義に生まれ変わった。
御伽噺フェアリーテイルはもう死んだんだ。
その言葉を胸に秘めて、ハルベロスの激戦区の地
“モンス”に3人の契約者が立った。
しかし3人だけではない、何人かはいる。今は他の地区で戦闘を起こっているため離れ離れなのだ。その契約者だけで編成された特殊部隊
チーム“名前のない怪物”と言った兵士達が、今のハルベロスの命運が握られている。無論、彼等たちもそう思っているだろう、自信があるのかおちゃらけた面持ちで名前のない怪物の副隊長を務める剣を扱う契約者、カケルは言う。
「ふーん、ここがモンスなんだねえ、隠れて暮らしていたもんだからハルベロスの地理知識なんかこれっぽっちも無いや。」
そしてその言動に副隊長の少女、チャイミーも続ける。
「そうだね....それにしてもこの地区は酷いね、私達が駆り出されるのも必然らしいのかな…ねえ、ショウ。」
白い髪をたなびかせ、赤い目を少年に向けた。ショウという声は酷く優しく、温もりのある声だったとショウは思っていた。チャイミーはショウのガールフレンドである。契約者で唯一無二のラブラブなカップルとチャイミーは言っている。ショウも同じ気持ちのようでショウも調子に乗ってたまに一心同体なんだと言っていることも珍しくない。カケルははいはいとあいずちを打って話を聞いている。カケルにも一応ガールフレンド成るものはいるのだが、滅多に会え無いのだ。その人はハルベロス学園の情報収集係、諜報局のリーダー。その彼女にいっつもいる幼なじみにも邪魔されることも少なくないのであまり2人きりになれないのが悔やまれる点だと今更になって脳裏にうかんだ。ーー今はそんな事は関係ない。
ショウ、名前のない怪物の隊長は青い双眸で奥を見つめている。
「そうだね、でも今は連合軍を倒さなければいけない、そんな事は考えている暇はないしね、チャイミー、それは終わったあとに沢山話したりしよう。」
はーいとチャイミーは少し感心した様子で言った。
「さあ、行こうか、3人が揃ったら敵なし、だろ?」
2人は頷いて3人は駆け出して行く。
ーーショウ、チャイミー、カケルは叫び、走る、武器を手に取り駆けていく。ーー見据える敵を、倒すべき敵を。
今ここに3人の“浄罪の契約者”が立つ。間違った正義を正すために、血に染まったこの世界を洗い流す為に。そしてーー生きて生きて生き抜いて、幸せを掴み取るために。
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