第5話
【ジジイの見本】
それでは、ジジイの見本のはじまり、はじまり〜。
「もしもし、こちらエヌチーチーコーポレーションの山田です。おめでとうございます!」
↑おめでとうと言われて悪い気のする人間はいない(^_^)
「はい、なにか?」
「お客様!抽選でお客様が選ばれまして、無料でお食事をしていただけることになりました」
↑“無料”という言葉に人は弱い(^_^)
「あら?そうなの?」
↑まだ怪しんでる(≧∇≦)
「はい、今回ですね、ご招待いたしますお店は、○○ホテルの高級レストランでございます」
↑“高級”という言葉に人間は弱い(^_^)
「ええ?あの有名な?○○ホテル?」
「さようでございます。ただ、お客様としましても、誰も今まで食べたことのないものを食べるのってご不安ありますよね?」
「そ、そうかもしれないわね。」
「ご安心くださいませ。今回は舌のこえた美食家が一度口にして、おいしいと、うなったものを、お客様に食べていただきますので」
「なるほど。それなら安心かもしれないわね」
「しかも、今回は、美食家が食べたという確実な保証付きでご提供させてもらってるんですよ」
↑“確実”、“保証つき”という言葉で信頼しない人間はいない(^_^)
「へぇ、保証っていうのは、何か、その料理で賞をとったとか?」
「いえ、それでしたら、お客様のほうでも、捏造とかをお疑いになるかもしれませんので、もっと確実に、美食家が食べたと分かるようにですね、今回は、美食家の肛門から、直接出てくるところを、お客様のほうで、見ていただいた上で、それを召し上がって、、、」
「はあ?うんこやないか!」
↑そう(^_^)
「まぁ、そういうお声もありますねぇ。主に貧民層の方から」
↑これをうんこと思うってことは、あんた、貧民層だよというプレッシャーをかける(^_^)
「お声とかちゃうがな!うんこやないか!」
↑たまたま客がアホやったパターン(≧∇≦)
「まぁ、えーと、ご住所をまずはお願いいたします」
「なんでこのタイミングで住所聞くねん!うんこやないか!いらんわ!アホか!」
↑こんな奴、誰とも結婚できない(^_^)
「あ、よろしかったですかぁ?まだ食べられてないの、お客様だけですよぉ?」
↑取り残される不安を演出(^_^)
「お前、抽選で、当たったって最初に言ったんちゃうんか!なんで、わたしだけ食べてないねん!180度違うやないか!ボケ!ガチャン!」
ジジイは、まさおを振り返り、ウィンクしながら、こう言った。
「お前にここまで喋れるか?」
まさおは、感じた。
この人は、勝負に勝って、試合に負けたのだと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます