第3話

【小さなイエスを積み重ねること】



「もうひとつ、小さなイエスを積み重ねることっていうのはな、答えがイエスに決まってることを何回か答えさせることによって、相手は、その次の質問や要求にもイエスと答えやすくなるんや。」



ジジイの話はわかりやすい。まさおも経験がある。



小さなお子さんいますか?



はい



お子さん、大切ですよね



はい、そりゃあ、まあ。




そうやって責任のあるお父さんで幸せですよぉ。お子さん。




あ、はい。あ、ありがとうございます。



ところで、責任のある世帯主として、今入ってらっしゃる保険って、ご満足いただいてますか?




まさおはたじろいだのだ。家庭がありながらも、生命保険にまだ入ってないなんて、言いづらい。それまでの質問は、イエスとしか答えようのないものだった。



子供さん、大切ですよね?に対して、いいえ、なんて、言う親は普通はいないからだ。




「そうや。まあ、わかってるんやったらええわ。とりあえずはこの二つ、相手に選ばせる。小さなイエスを積み重ねるってことを最初は意識してやっていったら成功するから。ほな、電話してみよか!」

「な、なんすか?も、もうやるんすか?」

「そうや。細かいことは、やりながら教えるからな。それでは、最初の課題を発表する!」




まさおは耳を疑った。




最初の課題。





“うんこを食わせるテレアポ”



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