第12話 明るい
限りなく広がるこの世界は、いつか終わりの時がくるのだろうか。
僕は、その時まで君に会うことはできないというのに。
果たして、僕が君に会えるときは、終わりの前以外にあのか…。
君が気づいてくれた時以外には、ないのだろう。だがそれも叶わぬ願いだというのに、いったいどうすればいいのか。
朝と呼べるのかわからない、僕が目を覚ました時には、君はもう目覚めている。
少し眠たそうで、すぐに窓を開け、外を見る。たぶん、あの世界は六時くらいだろう。
ただ何も映さないで、見ているというより、向けている。
何もない、目。
僕は、どうだろう。君とあいつがいるときは、とても楽しそうに輝いていた。
きらきらと光っていて、笑っていた。心の底から。
「……虹みたいにいろいろな色で光っていた」
哀しいときは青色。楽しいときは赤色や橙色。落ちこんだときは紫色。いろんな色だった。
でも今は、すべてが紺色。僕みたいに。だから、紺。
少し似ているのにあいつは藍色。僕より少し薄い青色。たったそれだけなのに、たったそれだけであいつとは違う。
それが悔しい。哀しい。羨ましい。
「もっと明るい色だったら良かった」
紺色なんて、黒と変わらない。僕の心も黒に近いってこと?
僕の心はないに等しいってこと?
僕にも、白がほしい。きれいな白が。
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