第11話 空を眺めて
寒々とした空の下で、みな和気あいあいと楽しそうに星を眺めている。
あぁ、もうクリスマスの時期だ。
「白は、どんなプレゼントがほしいの?」
「うーん。藍は?」
「ええと、あったかいおうち」
「おうち? でも、もうあるでしょう?」
「ううん。違うよ、あそこは僕の家じゃない。あそこは弟の家だ」
「……でも、藍もあの家の子供でしょう?」
「そうだけど、そうじゃない。僕はいらないんだよ、きっと」
「いらない……そ、そんなのおかしいじゃない……」
「……どうして、泣くの」
「……うぅ……おかしい……嫌、でしょう?」
「……………うん。そうかもしれない。分からないんだ。愛されたいのか、愛されたくないのか」
今思えば、あの言葉は本当の言葉じゃなかったのかもしれない。藍は、愛されたかった。でも、うまく言葉にできなかった。
愛されたい。子供ならだれでも思うこと。藍はそれを必死に隠していた。弟のために。自分を守るために。
でも、藍はとても愛情に溢れていた。私にもたくさんの愛情をくれた。優しくて、温かくて、心地よい。そんな感情を与えてくれた。
私は、それを返してあげられなかった。貰ったうちの十も返せていない。与えるばかりで、藍は満足できなかったのかな。
返すことができるなら。藍に返すことができるなら、私は、どんな状況だって……。
ふと、視線を感じて上を向いたが、そこには何もない。ただの空。藍と見られたなら、どんなに幸せだっただろう。
「会いたい……」
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