第7話 藍と紺
『思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを――』
小野小町
「今日は、何をして遊ぼうか」
「うーん。あっ! 貝殻を探しましょう! きれいな、桃色の」
「いいね。じゃあ海へ行こう!」
「うん!」
「はやく、はや――」
待って!
「……はっ、はぁ。はぁ…」
苦しい。熱い。痛い。もう、私死んでしまうのかな…?
「…ろ! 白! 気が付いた? 大丈夫? 痛いところは?」
「あ…頭が痛いの。あ、あ、あの子も…消えてしまって…もう、私に会いに来てくれないの? もう一度、会いたいの」
「白、白。落ち着いて、僕はここにいるよ」
「違う! あなたは、紺。紺……でしょう?」
「ううん。僕は
「ほ、本当に…本当にあの子、なの?」
「うん」
「嘘じゃないのね? 本当に、藍、くんよね?」
「うん。ごめんね、白」
やっと、会えた。藍。藍。藍。藍。
大好き、大好き。もう二度とどこへも行かないで。もう、私たちを置いて行かないで。やっと、あなたに会えたのに。もう、いなくならないで。
「…いなく、ならないで………」
「白、ごめん。藍は紺なんだ。紺が藍なんだ」
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