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「美濃国の濃姫?あのさ、ずっと気になってたんだけど。ここは何処なんだよ?映画村?映画じゃないなら、ドラマなの?」


「映画村とはなんぞ?映画とかドラマとか、わけのわからぬことを申し、わしを錯乱させる気か。お主は尾張の信長様を知らぬと申すのか?」


「大うつけの織田信長なら知ってるけど。それは戦国時代の話だよ。信也に借りた本に書いてあった」


「大うつけじゃと。無礼者!信長様を呼び捨てにするとは何事じゃ!」


 芝居にしては平手の様子は尋常ではない。このセットも家臣も侍女も、俳優や女優にしては妙にリアルだ。


「……信長様って、まさか、あの……本物?」


「本物とはなんじゃ!影武者だと申すのか。この無礼者!」


 平手はあたしの手を容赦なくピシャリと叩く。


「……いてぇな。今は西暦何年なんだよ。平成じゃねーのかよ!」


「平成とはなんじゃ。よほど頭の打ち所が悪かったようじゃな。記憶をなくしておるのか?今は1548年、天文17年じゃ」


 1548年……?

 天……文……?


 ――ここは……

 戦国の世……!?


 ――あたしが今いるのは……

 映画村のセットではなく、織田信長の古渡城……!?


 途方に暮れるあたしのTシャツを、平手は容赦なく切り裂く。


「きゃあ……!何をするんだよ!変態じじぃ!」


女子おなごのような声を出すでない。これは……随分派手に痛めつけられたものだな」


 月華にやられた打撲痕。

 平手は赤紫色となり腫れ上がった背中の打撲痕にもペタペタと薬草を塗り、包帯の代わりに晒しを取り出した。

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