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「……美濃!美濃!しっかりしろ!美濃!」


 あたしは美濃に縋りつき、半狂乱となる。


「お前が黒紅連合の総長かよ。お前の姉ちゃんはいい女だなあ。風俗に売り飛ばせばいい金になりそうだ」


 男達は「ヒッヒッ」と、卑劣な声を上げた。


「美濃に何をした!」


「このざまを見りゃわかんだろ。次はお前の番だ。一緒に楽しもうぜ」


 男はニヤニヤしながらあたしに近付く。怒りがこみ上げ男に殴りかかる。男は一瞬ぐらついたが、容赦なくあたしの顔面を殴りつけた。


 捕らわれていた喜与や那知、瑠乃も反撃に出る。何の武器も持たないあたし達は、素手で闘うものの、勝負は初めからついていた。


 3人の体に木刀や鉄パイプが食い込み、うめき声を上げ次々と床に投げ飛ばされた。


 喜与は頭から血を流し、「ヒーッ……ヒーッ……」と、浅い呼吸を繰り返し呻いている。


 那知も瑠乃もサンドバッグのように、奴らに殴られている。


「あざみ、そのへんでやめとけや。殺したら売りもんになんねーだろ。こいつら纏めてもらってくぜ」


「いいよ、好きにしな。あたしの姉は信也に殺されたんだ。姉を殺したくせに、自分は新しい女を作り、平然と暮らしている。信也だけが幸せになるなんて、このあたしが許さねぇ。この女は、あたしがめちゃめちゃにしてやる」


 男に捕らわれたあたしの腹部を、あざみは金属バットで殴った。


「……うぐっ」


 前方に体がガクンと傾き、床に跪く。


「だとよ、諦めな」


 男に背後から蹴られ、あたしの体は床に崩れ落ちた。


 このまま……

 あたしは殺されてしまう……。


 美濃だけは……

 助けなければ……。


 美濃だけは…………。


 薄らぐ意識を奮い立たせ、床に擦り付けていた頭を持ち上げる。額からポタポタと血が滴り落ちた。

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