第12話後悔
隼人は、病院を退院すると黒沢が待っていた。
「マリエを可愛がってあげたみたいだね。」
「あんなクソ女、死ねば良いんだ。」
「おーっと、少し気を付けてもらいたい。君もマリエもわたしの所有物だ。傷つけ合っては困る。」
「解雇すれば良い。俺もあの女も。」
「それは困る。君はうちのエースだからね。マリエにはわたしからきつく言っておく。」
「仕事だろ?」
「君は頭の回転が早くて本当に嬉しい。花梨が消えた。探して欲しい。」
少し黒沢は憔悴して見えた。
「黒沢さん、あんたは分かりやすい。」
隼人は少し伸びたひげを触って言った。
「何の事かな?」
「花梨の叔父を殺してはいけなかったんだ。」
「わたしは殺してはいない。」
「直接はだろ?」
「君はこっちが考えてる以上に能力を伸ばしたようだな。」
黒沢は、深いため息を吐いた。
「どうしてわたしじゃあダメなんだ。」
黒沢は、唾を吐きながら呟いた。
「当たり前だ。あんたより若くて魅力的な男だからだ。」
隼人は、グサリと黒沢の心臓を突くような言葉を吐いた。
「確かに…老いぼれ執事としか見えないだろう…。」
「少しはあんたにも良心が残ってる証拠だ。」
隼人は、その良心に闇がまだ勝ってないかを示した。
「黒沢さんあんたが俺に依頼する内容が変更になったな。」
「あぁ…仕方ない…。」
黒沢は、憔悴し過ぎている。
「質問がある。」
「何だ?」
「マリエは俺の○○を取って何をしているだ?」
「…。妊娠している。」
「それは人工受精…。」
「ああ、そうだ。優秀な遺伝子が欲しいと前にぼやいてた。」
「俺は、優秀なんかじゃない!」
「いや、君は越えてはいけない一線をいとも簡単に飛び越えた。マリエには君が優秀な殺人鬼と見たのだろう。」
「そんなために俺は…。」
「素直にマリエを抱くんだったな。」
「今、マリエはどこにいる?」
「それは言えない。花梨を連れて帰ったら教える。」
「分かった交換条件ってわけだ。情報はあるんだろ?」
「ああ、叔父のアパートにいる…。叔父の死体と一緒にな。」
退院してからすぐにヘビーな仕事だな…。
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