第10話抱いて


マリエは、安定剤を減らす条件にわたしを抱いて下さいと


言った。


「それは出来ない…。」


「じゃあ、このまま薬に頼って死ぬまで殺人マシーンとして働くんですか?」


喫茶店の一番奥に二人は座っている。


「そうです。妻以外の女性とは繋がらないと決めています。」





「まぁ、自分の選んだ道なら仕方ありません。」


「あぁ、すまない。」


黒沢の思惑は分かっている。


自分の後継者を探しているのだ。


その時、目眩がした。


気が付けばホテルのベッドの上で眠っていたようだ。


「わたし子供欲しいんです。」


マリエの声がした。


そして隼人の下半身に激痛が走り再び隼人は深い眠りに入った。


起きたのは、マリエの運転する車の助手席だった。


「仕事の依頼がある時は連絡します。」


隼人の住むマンションの前で車は止まった。



マリエの車から降りた瞬間、隼人は下半身に鈍痛を感じた。


下半身に鉛だまのようなものを入れられている気がした。


倒れて意識を失いながら美羽の声や救急車の音が耳に響いてきた。


大丈夫…俺は、大丈夫…。

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