第22話
次の日。。。
私の、体の管が取れて点滴だけになった。
凉音は、未だに覚まさない。
私の不安がドンドン膨らんでいく。
もし、凉音がこのまま目を覚まさなかったら?
不安は、募るばかりだった。。。
私が、悪いんだ。
「あれ?スズちゃん、まぁた寝てない。横にならないとダメやろ?」
おじ…遥さんが、私のことを軽々とお姫様抱っこをして、ベッドに戻す。
「は、遥さん!だ、大丈夫ですよ!」
「敬語いらんよ。僕のことは、遥ちゃんて呼んでな」
花瓶にいけてある花の手入れをしながら、遥は、軽くウィンクをする。
しかし、彼は猫目なのでウィンクしたのかよく分からない。。。
「千代姉ちゃんは?」
「ちぃちゃんなら、多分スズちゃんのおばさんとおはなしかいやない?」
「え?」
遥ちゃんは、椅子に腰掛けて私に真面目な顔つきになる。
「ちぃちゃんが、スズちゃんたちを引き取ることになったんや」
「え?」
私は、頭が真っ白になった。
私…あんな酷いこと言ったのに。
その言葉だけが、真っ白な頭に浮かんできた。。。
涙が止まらなかった。
「ご…め…ん、なさい…私……」
遥ちゃんは、大きな腕で私を優しく抱き締めてくれた。。。
「大丈夫や。僕も、手伝う!もう、怯えなくて良いんよ」
心地よい彼の声に私は、涙が止まらなかった。
そこに。
「あ~っ!店長が、すずにセクハラしてる!!」
「なっ!してへんよ!僕には、ちぃちゃんだけやもん!」
「はいはい」
千代姉ちゃんは、私に呟く。
「話は、ついたわ。あなた達は、正式に遥さんの家で引き取ることになったわ」
「え?」
私は、遥ちゃんに視線を移した。
「あー、やっぱりちぃちゃんが育てるのは、難しかった?」
「はい、親がどうしても…」
「なぁ?最終手段に、僕がいて良かったやろ?」
「はい、ありがとうございます…っち」
「舌打ち、バリバリ聞こえてるで」
頭がまた、真っ白になった。
「ちょ、え?どういう意味?」
「遥さんの、家で私とすずと凉音くんの三人で住むの」
「え?」
「それが、一番いいと思うから」
千代姉ちゃんの、笑顔に私は、何故か複雑な思いでいっぱいだった。
「ありがとう…」
「いいのよ。反対に、ラッキー。実家から、店まで遠かったから!」
うししっ。と、微笑む千代姉ちゃんに。
「僕も、コンビニ弁当生活から脱却できるし!」
「いいの?ホントにいいの?」
「だから、いいのよ!」
気が付くと私は、大粒の涙が止まらなかった。
「私…千代姉ちゃんに、酷いこと言ったのに…」
「ん?なんのこと?」
「ありがとうございます」
それから、私たちは家族になった。。。
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