第14話
コレは、遥の過去の物語。。。
遥は、十歳まで小さな小さな呉服屋の息子として育った。
父親ー奥山 千秋ーには、本妻がいて滅多に家には帰ってこなかった。
母親ー長澤 春ーは、そんな父に怒りと悲しみに明け暮れ、酒を飲んでは暴れ遥に暴力を振る毎日を送っていたのだ。
千秋は、大手呉服店の会長で、時期会長には、遥を推薦するつもりでいた。
何故、彼は、遥を選んだかと言うと、本妻との間には、子宝に恵まれなかったからだ。
しかし、春は、タダで遥を渡そうとはしなかった。
千秋が、遥を迎えに来た時。
「五千万や!!!五千万支払わないと、この子は、渡さへん!」
十一歳の誕生日に、母親のこんな姿どんな気持ちで遥は、見ていたのだろうか。千秋は、春の希望通りの金額を用意して遥を連れ出した。
しかし、遥は春からけして離れようとしなかった。
「いやや!僕は、おかんから離れとうない!!」
金を受け取った春は、人が変わったように遥を、抱きしめそして笑顔でこう呟く。
「バイバイ。アンタは、もう要らん子なんよ」
その言葉が、十一歳の彼の心にどれだけ刺さったか、彼女は知らない。
遥は、そのまま奥山家に姓を移した。しかし、ここでも彼は、幸せにはなれなかった。
千秋の本妻であるー奥山 聡子ーとの出会いだ。
なにかと言えば、すぐに叩かれ、暴言を吐かれていた。
しかし、千秋だけは違った。ボロボロに、なっていく遥を見てそっと抱き締めて、呟く。
「お前は、いい子だよ。大切な存在だ。愛しているよ、遥」
その言葉だけが、遥の心を救ってくれていた。が、何かの運命なのか千秋は、心臓病の発作を、起こしそのまま帰らぬ人になったのだ。遥が、15歳のときだった。。。
そこから、聡子の遥への当たりが一気に強くなる。
「妾の子如きが!」
「使えない」
「役立たず」
「要らない」
どんどん、遥は精神と肉体を蝕まれていった。。。
そして、医師からの診断は、『心臓病』
千秋と一緒の病名だった。。。
ストレスが、負荷になるほど彼の病は、進行する。
しかし、聡子の遥への態度は変わらなかった。
そして、遥が二十四歳の時本当は、時期会長として呉服店『八重桜』になる筈だったのだが、聡子はそれを許さずに小さな街店舗の呉服店の店長として、厄介払いをする。
そして…彼女と出会ったのだ。
「初めまして!如月 千代と申します!」
千代の笑顔を見た遥は、大袈裟にこう思ったお天道さんみたいな笑顔やな。と。
彼女は、これから、傷だらけの彼を鎖だらけな彼を救い出すのは、また別のお話し。。。
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