第3話

~現代文in講義~


「えっとー、ここの意味は…あ、イケね。資料忘れた」


現代文担当のー七倉 陽平ー


高身長、爽やか笑顔、だが金髪、元ヤンの香りがぷんぷんしている。


「誰か、仮眠室から現代文の資料持ってしてくれねぇか?」


そんなことを、そっちのけで締め切りが近いホラー小説を必死に書いている迷涼。。。


「おい、兎菓子!ちょいと頼むわ」


「え?なにがですか?」


聞いていなかった。理由を聞いてから、まぁいいかと、返事をして一人仮眠室へ向かった迷涼。


職員室の隣に、『資料室』と書かれた部屋がある。迷涼は、この教室に入るのは初めてだ。


中は、真っ暗で、教材などの奥に高級そうなソファーがあって、白い布が被さってあった。。。


「ゴホッ!埃臭い!!」


とりあえず、こんなに暗いと探せない。と、ソファーの後ろにあるカーテンを勢い良く開けた。


日差しと共に、気持ちの良い風が入ってきた。


すると。。。


「ま、眩しい」


「きゃあっ!!」


なんと、ソファーに男が一人眠っていたのだ。


ムクっと、起き上がり寝惚けた眼で、迷涼を見つめる。


「折角、寝ていたのに…安眠妨害もいいところだ」


「ご、ごめんなさい!」


「何をしに来たのですか?」


ソファーに、男が寝ていたということに驚き過ぎて、一瞬なにをしに来たのか忘れてしまっていた。


「あ!資料です!!現代文の資料がなくて…どこにありますか?」


「ん」


男は、黙って目を擦りながら本棚に指をさす。


「ありがとうございます!」


ガタガタと、椅子を揺らしいつ倒れてもおかしくない状態の中、あと少しで取れると背伸びをする。


「あ!取れた!」


だがしかし、椅子が傾いてしまいそのまま彼女は、沢山の本と一緒に、落ちる。


「やっ!」


目をギュッと、閉じる。しかし、いくら待っても痛みは来ない。。。


「全く、良い安眠妨害ですよ」


男が、彼女の胸にすっぽりと収まっていた。


「ご、ごめんなさい!!お怪我は?」


「イヤ、俺よりアナタですよ。大丈夫ですか?」


「はい!あ、私 兎菓子 迷涼。と、申します」


「ココで自己紹介ですか?まぁ、いいですけど、笹木部 龍夜です。一応、教授です」


「え!!?」


彼の正体に、驚きを隠せない迷涼。


そこに。。。


「あ、やっぱり、ここにいた!」


「七倉…」


「七倉教授!」


資料!死ぬ気で取りました!と、付け足して、駆け寄ってきてくれた彼に渡すが彼は、えげつない一言を、彼女に呟く。


「あのな、もう講義終わったんだよ」


「え?」


思わず、石化してしまいそうになる迷涼。


後ろで、クスクスと、笑っている声が聞こえてきた。


「もう…ヤダぁぁあぁあ」


この人たちとの出会いで、彼女たちの愛してきた日常が、変わって行くのだ。。。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る