しあわせのかけら

 物陰で子ネコがぐっすり眠ります

 すぴ すぴ すぴ すぴ 寝息を立てて

 やわらかいおなかをさすったら

 あなたはビックリして起きちゃうかしら


 外はこんなに暑いのに

 しぼるほど汗が止まらないのに

 やさしい風が吹きぬけていく

 こんなステキな場所があったなんて


 どんな夢を見ているのかな

 なんてしあわせそうな寝顔

 車もめったに通らないここは


 日時計がゆっくりゆっくりゆがんでいく

 ほかに動くものの認められない昼下がり

 何の予定もないからずっと黙っているよ


 ディスプレイ越しにいつも夢見ていた景色

 今目の前に さわれるほどの近さに

 子ネコは何の心配もないみたいに眠ってる


 すぴすぴ すぴすぴ

 ああなんてしあわせそう

 子ネコのそばにはマグロ缶


 ここは一緒に眠るには狭すぎて

 やさしいといきのような風がじゃれついて

 じっと見ていてもあきはしないけれど


 すぴすぴ すぴぴ

 子ネコはずうっと眠ったままで

 これだけ幸せそうな景色ってないよね

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る