胸騒ぎの朝に

 遠い遠い記憶の旅路

 目を閉じて一年で一番楽しかった頃を思う

 それは今でも続く今よりずっと賑やかだった晴れの日


 空砲 空に響いて

 いつもより澄み切った空に

 ああ でも年々活気は逃げていく


 自転車が今よりクールだった頃

 小さな山ひとつ越えるだけで大事件で

 見慣れぬ景色に別の世界を見ていた


 お目当てはいつだってカラフルな屋台たち

 みんなみんな笑顔ばかりであふれてて

 もらったお小遣いなんてすぐになくなっていて


 お神輿が威勢良く道を通り過ぎていく

 みんなはそれを楽しそうに眺めていたけれど

 僕はくじの特賞の方にばかり目を奪われていた


 いつもの淋しい参道に花が咲いて

 でもその本当の意味を理解した頃には

 もうあの頃の景色は戻ってこなかった


 今よりずっと子供が多くて

 今よりずっと楽しみが少なくて

 今よりずっと人情があふれてて


 今日は一年ぶりの同じ日の始まり

 久しぶりにそこまで足を伸ばしてみようか

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