春の幻

 遠く遠く霞んでいく空に

 やわらあたたかいひざしがにじんで

 小高い丘の上 小さな花たちがゆれている

 見下ろせばいつもの街並が見える


 耳をすまさなくても聴こえるあの声は

 今春なんだよって当たり前の事を教えてくれる

 ほーほーほけきょ ほーほけきょ

 どこにいるかは分からないけど


 ぶんぶんみつばち忙しそうに

 丸い体に花粉をつけてぶんぶんぶぶん ぶんぶぶん

 花を渡って忙しそうにはしゃいでる


 幼い頃の大冒険

 くさむらをどこまでも歩いていった

 まだ知らない事ばかりだったあの頃

 まだ楽しい事だらけだったあの頃


 ねこものんびり日向ぼこ

 光のゆれる海静か

 こんな日は自転車に乗って

 思い出のつまった自転車に乗って


 懐かしい景色は少しずつ変わっていくけれど

 やさしく吹く風に乗って届く季節の便りは

 まだまだ時の幻影をとどめているよ

 かすれていく記憶に色を取り戻してくれるよ

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