第5話 新東京国際空港 1990年代前半

新東京国際空港とは、成田空港のできた当初の名前である。

成田空港は、それこそ数え切れないくらい利用し、その時々の思い出も異なるため、何度か、分けて書いていく。

できたばかりの頃は、成田空港までは線路もつながっておらず、公共交通としては成田駅からバスに乗っていくようになっていた。

それはやはり不便であるから、送迎のために何度も成田空港に行くことがあった。

当時は現在の第一ターミナルしかなかったが駐車場の整理もゆるやかで、送迎用の場所に止めたまま、車を離れてトイレに行くくらいの時間は許された。


しかしあの、空港に到着する直前の荷物検査は何だったのだろう?

電車で行っても、空港に入る前に荷物を金属探知機に通し、身分証を見せる。

車で行くと、セダン車の場合は「トランク開けて下さい」と言われる。

路線バスならば、全員のパスポートを確認するが、団体バスなら代表者のみ。

今も続いているようなら、書くほどのことではないが、無くなってしまうと、

こんなこともやってたなあ、と思い出になってしまう。


そして実際に、国際線の飛行機を始めて利用したのは大学の卒業旅行のような形で、ニューヨークに行った時だった。空港自体には何回か行っていても、いざ、自分が搭乗手続きをしたり、出国検査を通るのはやはり緊張した。

ただ、当時の空港内には、さほど目立つようなお店やレストランも少なく、

空港なんてこんなもんだという程度の店しかなかった。

今と比べると大違いである。


この初めての国際線の興奮は、一生忘れないだろう、とは思っていたものの、

数年後には、そんな気持ちを持っていたことさえ忘れるくらいのことが起こってしまった。


海外駐在である。再び成田空港から、多くの人に見送られながらロサンゼルスへと出発した。不安や期待が入り交じってよくわからない気持ちのまま、とにかく新東京国際空港から出発であった。

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