第3話 大崎駅

大学生になり、東京に暮らし始めると、最寄り駅は山手線の大崎駅になった。

今でこそ、りんかい線への乗り入れや、駅前のバスターミナルができたが、

当時は山手線の中でも、数少ない乗り換えの無い駅で有り、バスの発着起点にもなっていなかった。

当時、ようやく駅の北側にホテルやオフィスビルの入った商業施設が一つできたばかり、南側は雑居ビルとソニーの工場があり、南側は駅前という感じもせず、自転車置き場も、工場の壁沿いの道路に線が引いてあるだけのものだった。

北側は山手通りに面しているのだが、線路との立体交差の橋も工事中で、不便な印象を受けた。

できたばかりのオフィスビルでは、ドラマ撮影も何度か行われていたようで、その新しさが印象的だった。

両隣の駅が、東海道線や京浜東北線などに続く品川駅と、地下鉄や池上線への乗り換えのある五反田駅だったから、よけいに小さな駅に見えた。

しかし、それでも山手線である。東京都内の主要駅に直通で行けるのは助かった。

一度、山手線を一周回って、それぞれの駅で一度、降りてみたが、やはり似たような住宅街という印象の駅は少なかった。

しかし、現在では、北側には、さらにもう一つのオフィスビルができ、南側は、全く印象が変わってしまった。

それほど古い話では無いと思うのだが、都会でも、もしかしたら都会だからこそ、大きな変化が繰り返されるのかも知れない。

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