第15話vier 8

翌日。

緊張しながら、バイト先へと向かった。



休憩室に入ろうとした時、中から話声が聞こえてきた。

この声は佳佑君の声だ。


嫌な予感がして、

音を立てないように耳を澄ました。




「つーかあんなに簡単に引っ掛かるとは思わなかったわー!やっぱモテなさそうでバカな女はチョロイっすわー」

。って事で掛け金よろしく~」



掛け金?



「でも結局ヤれなかったんでしょ?掛け金は半分って事で」


「なんでだよ!家の中まで入りかけたんだから、良いだろ!」


「家の中に入りかけるのと、一線超えるのは別だから」


「だってさ。無理じゃね?家の中にあんなのあるなんてさ」


「あぁ、写メに写ってたあれ?」


「あんな大人しい不細工が毎晩あれとヤッてるとか考えたら逃げるだろ」


あれってにひとの事?



「でもまぁ、掛け金を倍にしてくれるんだったら、昨日からピーピーメールが来てるし、ホテルに引っ張ってもいいけど」



♪~♪~



突然携帯のメール音が鳴る。

見てみると佳佑君からだった。


まずい!聞いてた事がバレちゃう。



走ってアパートまで逃げ帰った。

色んな事を知り、足がガクガク震えて、何回も転びそうになりながらも、必死で走った。


玄関を開けるとにひとがいた。



「ママ今日は帰りが早いですね」



「もう死にたいの」




それだけ言うと、携帯の電源を切り布団に潜った。




「ママが布団で寝るのは珍しいです」



「ママは体調が悪いのですか?」



「ママー」



もう聞きたくないよ。

静かにして。


死にたい。

殺してよ。

早く。

ねぇ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る