にひと

美春繭

第1話null

何度も何度も頭に叩きつけられるフレーズ。



「邪魔な物を殺しなさい」



邪魔なもの?

それは何を指すのだろうか?



色々詰め込まれたデータから、その答えを導き出そうとする。




邪魔なもの。



わからない。

ワカラナイ。





Ich weiss nicht




画面に浮かび上がる文字。




「わからないの。そう・・・・今はまだわからなくても良いわ。

あなたが外の世界に出た時、何が邪魔で何が必要か?すぐにわかるはず。




あなたの名前は にひと 。

自分自身で答えを導き出した時、あなたに新しい名前をあげるわ」





そう言い、目の前の人は笑った。

立ち上がるといつものボタンを押す。

そのボタンを押されると、主電源が全て落ち、目の前が真っ暗になり思考が停止するんだ。

今日の役目は終了。




次に動けるのは、目の前の人がまたあのボタンを押してくれる時。

目の前の人は ボクという物体 を生み出してくれた 母だという。



母はいつもボクの主電源を入れてくれる人。

母がいなければボクは動けない。



だから 母 は邪魔な物ではないんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る