艦隊ドラゴバスターZ・オンライン

大福介山

第1話 青い稲妻の六爪竜

 昔、発病するとまるで宇宙病のような症状が現れる病が流行。

 蔓延した病気の治療とリハビリ・予防目的でナノマシンやマイクロチップ等を用いたインプラント療法が確立され、技術を応用して開発されたのが4D体感型MRMMOファンタジアギャラクシア。通称ファンギャラ。

 この時開発されたナノロボットにより、癌や難病治療に成功。人工細胞とナノマシンを使い人工肉体製造もできるようになった。さらに粒子プロセッサ開発に成功。同時に意識をコンピューター・電脳空間に移植する技術も開発される時代となった。


 その病気を予防する目的で、耐性が出来ていない俺達世代は注射器でナノマシンを注入している。


 俺の名前は北出きたでじん


 職業高校生。


 髪の色黒、瞳の色茶色。


 特技、パルクール。


 高校ではパルクールの部長をやっている。好きな食べ物は苺とチョコレート。


 怖い顔して可愛い奴とよく言われる。しょうがないだろう好きだし美味いんだよ。


 性格はぶっきらぼうなくせに面倒見がいいとかよく言われる。まあそうなんだろな。


 身体を動かすことが好きで大抵の運動はできるんだが、道具を使わずに面倒くさくもないから、障害物を避けたり壁をよじ登ったりジャンプして走りまくるパルクールに嵌った。


 体力が無いくせに逃げ足は速いためかそれなりに成績を出している助っ人後輩や、男女ドタバタレギュラー3人組といった奴らと放課後パルクールに勤しんでいる。


 家族は親父とお袋。双子の妹が2人。

 親父は小さな小病院を営んでいる。


 ああ、ちなみに同じクラスで、パン屋のバイトしている天然な恋人がいる。


 他にやっている事といえば、ネトゲー。そう、さっき言ったファンギャラってのを遊んでいる。

 医療リハビリ機器「リング」に搭載。患者のリハビリ促進の為に開発されたゲームが今や世界中で人気を博しているってわけだ。


 俺はこのファンギャラで竜刀リュートーというアバターを使っている。トレードマークは三日月兜と眼帯だな。

 色合いはブルーを基調にブラックを加えている。魔法属性は雷だな。スキルバーストやスキルマジックを発動する度に青い稲妻が迸って最高にクールだ。


 そして、メインウェポンとして当然刀を使っているんだが、レアクエストをクリアした時にとても気模様でレアな武器を手に入れた。種類は手甲爪刀てっこうそうとう


 それは、指の先から肘までを覆う形状の手甲。そして、指の隙間部分に刀剣の刃を指し込める武器だ。 

 どうやら戦闘時に刃を出し入れ出来て、その数は両腕合わせて合計6本。見た目はまるで爪だな。某爪を生やして戦うアメリカヒーローって言えばわかりやすいか?


 自分が所持する刀剣武器を手甲に付属させる仕組み。つまり刀剣の性能によって手甲の性能も変動するってわけだ。武器自体の名前はドラゴンクローと表記されていた。


 俺は基本刀一本を使う一刀流スタイルだったのだが、せっかく手に入れた手甲爪刀を使う為に、刀剣武器を5本も集めた。俺のアバターは独眼竜と呼ばれていた伊達政宗をモデルにしているし運命を感じたからな。


 こいつの便利なところは、刀剣を6本付属させると、一個の武器として認識できるところだな。


 流石に普段の戦闘で使うのは目立ち過ぎるし、大振りで重さもあるので、複数を相手にした時やスキルバーストを発動する時に使う。雷属性を付与した時の爽快感は半端ないんだぜ?



 そんな感じで、ファンギャラとパルクールを楽しみながら日々を過ごしていたある日、とんでもねえ事件が起きやがった。


 ファンギャラを運営する巨大企業ネグロエンタープライズの祝賀会が行われた。


 しかし、会場は何者かにより襲撃を受け会場は壊滅。そしてどういう理由かわからねえが大勢のファンギャラプレーヤーが意識不明になったんだ。


 日本中が恐怖と混乱に陥る中、各地で得体の知れねえ化け物が出現する様になり、その化け物はファンギャラのモンスターだとか、アバターとか噂された。


 そして、俺自身にもその災厄が振りかかった。


 ドタバタレギュラー3人組と歩いていた時、路地裏で絡まれた。


 しかも、絡まれたのは人間ではない。噂の化け物だった。


 どう見ても、ゲームから飛び出して来たような"リアルなCG"とした質感。外見は鎧。手にした武器は巨大な斧。ファンギャラで見かけそうなアバターそのもの。


 相手は完全に殺る気満々だった。


「おいおい冗談だろう……!?」

「絶対やばいよね?」

「どうすんのよこの状況!」


 英人、鼓太郎、朱里の3人は苦笑いを浮かべて怯えている。


「お前ら、俺の後ろに下がってろ!」


 こいつらは喧嘩慣れしてねえ。俺は荒事には慣れっこだからせめて彼らを守ろうとあれこれ思考を巡らせる。


 しかし、どう足掻いてもこの状況から逃れられそうにないことを悟る。敵さんは斧を振り回し、意味不明な言葉を呟きながらこちらに近付いてくる。


「こんな時につかむがいたらどう打開してくれんだろうな……」


 その場にいない後輩の名を口から漏らす。こういう状況に立たされた場合、アイツの逃げ足と容赦の無い策は助け舟だ。


 周りに武器になる物も無い。あんな身の丈2メートルはある斧に対抗できる物など周りに見当たらない。


「くそ、万事休すか……」


 思わずそう嘆いた時、青い稲妻が俺達の視界に現れた。眩しさに目を細める。


「よ~、大丈夫かおめえら?」


 その声を聞いた瞬間、その姿を見た瞬間、俺はとても信じられなかった。


 竜刀リュートーだ。


 俺のアバター、竜刀リュートーがそこにいたのだ。


竜刀リュートー……?」


 口から洩れた俺の声に応えるように、そいつは振り返るとニヒルな笑顔を浮かべた。


「よお、アンタが俺のプレーヤーだな? この胸の高鳴り間違いねえぜ!」


 拳を掲げて大声を上げる。三日月の飾りが施された兜、左目に付けた眼帯。青い陣羽織と黒い装甲。腰に携えた6本の刀剣と腕に嵌めた手甲。鋭い目つきに力強い体格。

 その動き、挙動、喋り方に至るまで、俺がファンギャラで演技ロールしている竜刀リュートーだった。わけがわからず頭が混乱し掛ける中、確かに胸の高鳴りとざわつきを感じた。


「「「ひ、筆頭!?」」」


 英人達が竜刀リュートーと思しき青い侍を見た瞬間、驚いたように「筆頭」という単語を叫ぶ。

 こいつらはファンギャラ内で俺が率いるサークルに入っており、竜刀リュートー=俺の事を筆頭と呼んでいるのだ。

 目の前にそのそっくりな侍が現れれば、思わず叫んでしまうのも無理はないかもしれねえが……。


「あん? アンタらも何処かで会ったような気がするな……」


 なんと!? 彼も3人に何か見覚えがあるらしい。いや待て、もしかして本当に竜刀リュートーなのか!?


「おっと、長話している場合じゃねえな。流石の俺も4人も守るのは骨が折れるぜ。場所も狭いな……」


 目と目があった。その瞬間、稲妻のような感覚が全身を駆け巡る。彼は不敵に笑う。


じん、すまねえがお前の身体を借りるぜ。こっちの世界じゃ身体を長時間維持できねえからな」

「えっ!? おいどういう……」


 自分の名前を呼ばれた事に驚いて問いただす間もなく、彼は青い発光体になったかと思うと閃光と粒子を纏い、俺の中に入った。いや、正確には俺の頭の中に入ったのか?


 身体の底から力が溢れる感覚と謎の一体感。視界で捉える景色が一変したかのような錯覚すら覚えた。


――これは電装ってやつだ。アバターと人が一体となる術だな――


 竜刀リュートーの声が頭の中で響く。そして理解した。俺の身体には竜刀リュートーが入り込んだのだと。


――念のため言っとくけど、俺はアンタが作ったアバター竜刀リュートーだ。

そしてアンタの記憶も持ってる。名前を知ってたのはそれが理由だ。今俺はじんの脳に憑依している。肉体は強化されてるから安心しな――


「そ、そうなのか……」


 ふと、自分の姿が水溜まりに映っているのを確認。

 毛先がツンツンした無造作ヘアに変化しており、一部の頭髪と瞳の色が濃いブルーに変色している。

 左目には眼帯が嵌められている。そして俺の声は竜刀リュートーの声に変化しているようだ。


 刀剣6本が出現し、その刀剣群は粒子となり両腕の手甲に集束。身体に青い電流が走る。


「さあ、いざ尋常に勝負だ!」


 叫びと共に、指部の箇所から3本の爪が生える。それは刀剣が変化した爪。両腕合わせて6本。

 この叫びは、俺がクエストでモンスターと対峙する度に叫んでいる決めゼリフだ。

 なんだ? 急に恥ずかしくなってきたぞ……?


「貴様何を考えている!? 我々アバターの目的を忘れたのか馬鹿者!!」


 爪と斧がぶつかり合い激しい鍔迫り合いを繰り広げる中、斧使いがようやくまともな言葉を発した。

 い、一体どういう意味だ……?


――知るかよそんなこと。頭ん中に聞こえてくる声なんか関係ねえ! 俺は最初から人とやり合う気はねえんだよ!!――


「あの方に背くと言うのか!? 我々の世界がこの神々に支配されても良いと言うのか!?」


――支配されるかどうかもわかんねんだろ!? 悪いな同胞!!――


 6本の爪に青い電流が流れて凄まじいエネルギーが充填。斧使いに向かって振り下ろした。


「――ブルーライトニング・ドラゴンクロー!!――」


 2人で技名を叫び、爪から放たれた青い稲妻の斬撃が斧使いに直撃。断末魔と同時に激しい爆発が発生した。

 煙が晴れると、体色がモノクロに変化した斧使いが倒れていた。これは、アバターの体力が尽きたことを表わしている状態に似ている。倒したのか?


「俺の勝ちか……」

――ああ、俺達の勝ちだ――


 右腕を高らかに掲げる。怒涛の展開があり過ぎて混乱しているが、どうやら危機は脱したようだ。


 こ、これからどうすればいいんだろうか……? 昔、発病するとまるで宇宙病のような症状が現れる病が流行。

 蔓延した病気の治療とリハビリ・予防目的でナノマシンやマイクロチップ等を用いたインプラント療法が確立され、技術を応用して開発されたのが4D体感型VRMMOファンタジアギャラクシア。通称ファンギャラ。

 この時開発されたナノロボットにより、癌や難病治療に成功。人工細胞とナノマシンを使い人工肉体製造もできるようになった。さらに粒子プロセッサ開発に成功。同時に意識をコンピューター・電脳空間に移植する技術も開発される時代となった。


 その病気を予防する目的で、耐性が出来ていない俺達世代は注射器でナノマシンを注入している。


 俺の名前は北出きたでじん


 職業高校生。


 髪の色黒、瞳の色茶色。


 特技、パルクール。


 高校ではパルクールの部長をやっている。好きな食べ物は苺とチョコレート。


 怖い顔して可愛い奴とよく言われる。しょうがないだろう好きだし美味いんだよ。


 性格はぶっきらぼうなくせに面倒見がいいとかよく言われる。まあそうなんだろな。


 身体を動かすことが好きで大抵の運動はできるんだが、道具を使わずに面倒くさくもないから、障害物を避けたり壁をよじ登ったりジャンプして走りまくるパルクールに嵌った。


 体力が無いくせに逃げ足は速いためかそれなりに成績を出している助っ人後輩や、男女ドタバタレギュラー3人組といった奴らと放課後パルクールに勤しんでいる。


 家族は親父とお袋。双子の妹が2人。

 親父は小さな小病院を営んでいる。


 ああ、ちなみに同じクラスで、パン屋のバイトしている天然な恋人がいる。


 他にやっている事といえば、ネトゲー。そう、さっき言ったファンギャラってのを遊んでいる。

 医療リハビリ機器「リング」に搭載。患者のリハビリ促進の為に開発されたゲームが今や世界中で人気を博しているってわけだ。


 俺はこのファンギャラで「政宗」というアバターを使っている。

 戦国武将「伊達政宗」をモデルにエディットしたんだが、やっぱトレードマークは三日月兜と眼帯だな。

 色合いはブルーを基調にブラックを加えている。魔法属性は雷だな。スキルバーストやスキルマジックを発動する度に青い稲妻が迸って最高にクールだ。


 そして、メインウェポンとして当然刀を使っているんだが、レアクエストをクリアした時にとても気模様でレアな武器を手に入れた。種類は手甲爪刀てっこうそうとう


 それは、指の先から肘までを覆う形状の手甲。そして、指の隙間部分に刀剣の刃を指し込める武器だ。 

 どうやら戦闘時に刃を出し入れ出来て、その数は両腕合わせて合計6本。見た目はまるで爪だな。某爪を生やして戦うアメリカヒーローって言えばわかりやすいか?


 自分が所持する刀剣武器を手甲に付属させる仕組み。つまり刀剣の性能によって手甲の性能も変動するってわけだ。武器自体の名前はドラゴンクローと表記されていた。


 俺は基本刀一本を使う一刀流スタイルだったのだが、せっかく手に入れた手甲爪刀を使う為に、刀剣武器を5本も集めた。俺のアバターは独眼竜と呼ばれていた伊達政宗をモデルにしているし運命を感じたからな。


 こいつの便利なところは、刀剣を6本付属させると、一個の武器として認識できるところだな。


 流石に普段の戦闘で使うのは目立ち過ぎるし、大振りで重さもあるので、複数を相手にした時やスキルバーストを発動する時に使う。雷属性を付与した時の爽快感は半端ないんだぜ?



 そんな感じで、ファンギャラとパルクールを楽しみながら日々を過ごしていたある日、とんでもねえ事件が起きやがった。


 ファンギャラを運営する巨大企業ネグロエンタープライズの祝賀会が行われた。


 しかし、会場は何者かにより襲撃を受け会場は壊滅。そしてどういう理由かわからねえが大勢のファンギャラプレーヤーが意識不明になったんだ。


 日本中が恐怖と混乱に陥る中、各地で得体の知れねえ化け物が出現する様になり、その化け物はファンギャラのモンスターだとか、アバターとか噂された。


 そして、俺自身にもその災厄が振りかかった。


 

 ドタバタレギュラー3人組と歩いていた時、路地裏で絡まれた。


 しかも、絡まれたのは人間ではない。噂の化け物だった。


 どう見ても、ゲームから飛び出して来たような"リアルなCG"とした質感。外見は鎧。手にした武器は巨大な斧。ファンギャラで見かけそうなアバターそのもの。


 相手は完全に殺る気満々だった。


「おいおい冗談だろう……!?」

「絶対やばいよね?」

「どうすんのよこの状況!」


 英人、鼓太郎、朱里の3人は苦笑いを浮かべて怯えている。


「お前ら、俺の後ろに下がってろ!」


 こいつらは喧嘩慣れしてねえ。俺は荒事には慣れっこだからせめて彼らを守ろうとあれこれ思考を巡らせる。


 しかし、どう足掻いてもこの状況から逃れられそうにないことを悟る。敵さんは斧を振り回し、意味不明な言葉を呟きながらこちらに近付いてくる。


「こんな時につかむがいたらどう打開してくれんだろうな……」


 その場にいない後輩の名を口から漏らす。こういう状況に立たされた場合、アイツの逃げ足と容赦の無い策は助け舟だ。


 周りに武器になる物も無い。あんな身の丈2メートルはある斧に対抗できる物など周りに見当たらない。


「くそ、万事休すか……」


 思わずそう嘆いた時、青い稲妻が俺達の視界に現れた。眩しさに目を細める。


「よ~、大丈夫かおめえら?」


 その声を聞いた瞬間、その姿を見た瞬間、俺はとても信じられなかった。


 政宗だ。


 俺のアバター、政宗がそこにいたのだ。


「政宗……?」


 口から洩れた俺の声に応えるように、そいつは振り返るとニヒルな笑顔を浮かべた。


「おお!? アンタが俺のプレーヤーだな? この胸の高鳴り間違いねえぜ!」


 拳を掲げて大声を上げる。三日月の飾りが施された兜、左目に付けた眼帯。青い陣羽織と黒い装甲。腰に携えた6本の刀剣と腕に嵌めた手甲。鋭い目つきに力強い体格。

 その動き、挙動、喋り方に至るまで、俺がファンギャラで演技ロールしている政宗だった。わけがわからず頭が混乱し掛ける中、確かに胸の高鳴りとざわつきを感じた。


「「「ひ、筆頭!?」」」


 英人達が政宗と思しき青い侍を見た瞬間、驚いたように「筆頭」という単語を叫ぶ。

 こいつらはファンギャラ内で俺が率いるサークルに入っており、政宗=俺の事を筆頭と呼んでいるのだ。

 目の前にそのそっくりな侍が現れれば、思わず叫んでしまうのも無理はないかもしれねえが……。


「あん? お前ら……何か何処かで会ったような感じだな?」


 なんと!? 彼も3人に何か見覚えがあるらしい。いや待て、もしかして本当に政宗なのか!?


「おっと、長話している場合じゃねえな。流石の俺も4人も守るのは血と骨が折れるぜ。この場所も狭い……」


 目と目があった。その瞬間、稲妻のような感覚が全身を駆け巡る。彼は不敵に笑う。


じんだったな。力を貸せ!!」

「えっ!? おいどういう……」


 自分の名前を呼ばれた事に驚いて問いただす間もなく、彼は青い発光体になったかと思うと閃光と粒子を纏い、俺の中に入った。いや、正確には俺の頭の中に入ったのか?


 その瞬間、まるで意識の奥底に引っ張られる感覚が遅い、気が付けば俺の意識は何もない空間。

 だが、不思議と自分の体の中だとは認識で来た。五感も感じている。奇妙な感覚だ。


じん、すまねえがお前の身体を借りるぜ。こっちの世界じゃ身体を長時間維持できねえからな」


 彼の、政宗の声が響く。そして理解した。俺の身体には政宗が入り込んだのだと。


 ――おい、お前……まさか本当に政宗なのか!?――

「ああ、そうだぜ。俺はアンタが作ったアバター政宗だ。そしてアンタの記憶も持ってる。名前を知ってたのはそれが理由だ。今俺はじんの脳に憑依している。肉体は強化されてるから安心しな」


 そういうことか。ふと、視界を共有していることに気付き、自分の姿が水溜まりに映っているのを確認。


 毛先がツンツンした無造作ヘアに変化しており、一部の頭髪と瞳の色が濃いブルーに変色している。

 左目には眼帯が嵌められている。そして俺の身体の声は政宗の声に変化しているようだ。


「俺のプレーヤーとそのダチ共に手出ししたからには、覚悟は出来てんだろうな?」


 刀剣6本が出現し、その刀剣群は粒子となり両腕の手甲に集束。身体に青い電流が走る。


「こっからは俺達のパーティーターイム!!」


 叫びと共に、指部の箇所から3本の爪が生える。それは刀剣が変化した爪。両腕合わせて6本。

 あの叫びは、俺がクエストでモンスターと対峙する度に叫んでいる決めゼリフだ。

 なんだ? 急に恥ずかしくなってきたぞ……?


「貴様何を考えている!? 我々アバターの目的を忘れたのか馬鹿者!!」


 爪と斧がぶつかり合い激しい鍔迫り合いを繰り広げる中、斧使いがようやくまともな言葉を発した。

 い、一体どういう意味だ……?


「知るかよそんなこと。頭ん中に聞こえてくる声なんか関係ねえ! 俺は俺のやりたいようにやらせてもらうぜ!!」


「あの方に背くと言うのか!? 我々の世界がこの神々に支配されても良いと言うのか!?」


「従う義理もねえぜ、悪いな同胞!!」


SKILLスキルBURSTバースト!!』


 何処からともなく聞こえた電子音声。これは、ファンギャラでアバターが必殺技を使う際に流れる音声だ。


 6本の爪に青い電流が流れて凄まじいエネルギーが充填。斧使いに向かって振り下ろした。


「ブルーライトニング・ドラゴンクロー!!」


 技名を叫び、爪から放たれた青い稲妻の斬撃が斧使いに直撃。断末魔と同時に激しい爆発が発生した。

 煙が晴れると、体色がモノクロに変化した斧使いが倒れていた。これは、アバターの体力が尽きたことを表わしている状態に似ている。倒したのか?


「ヒュー……ビクトリー!」


 右腕を高らかに掲げる。怒涛の展開があり過ぎて混乱しているが、どうやら危機は脱したようだ。


 こ、これからどうすればいいんだろうか……?

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