憑依探偵 風神レイ ~愛と憎しみの交差点 ~
桐華江漢
始まり
愛とは……
『愛』
それは、人が人を思う気持ち。相手の事を思いやる心。胸の奥から無限に溢れ出てくる心地良い感覚で、自分の身体全体を優しく、そして熱く包み込んでくれる。
なんて素敵な言葉なんでしょう。これほど美しい言葉は無いのではないかしら。その証拠に、そこには愛を使ったあらゆる言葉が存在する。
恋愛。
友情愛。
家族愛。
同性愛。
動物愛……。
でも、これはほんの一部に過ぎない。今現在では生き物だけではなく、乗り物やゲームに対しても愛と表現されている事も珍しくない。例を挙げるならば、電車好きな人間は写真にその姿を納めるため遥々何時間も掛けて足を延ばす。ゲームに出てくるキャラクターが好きになり、自らそのキャラクターと同じ衣装を身に付けたりと様々である。
これらの人は俗に『オタク』等と表現される事が多いけど、それだけその対象に想いが向けられている証でもあるわね。愛の証しだわ。その熱意をよく蔑まされたりするけど、それだけの情熱を向けられる対象を見つけられた事は最高の幸せだと思わない?
そんな中で私が一番愛を向けているものは何だと思う? ふふっ、それはね……私自身よ。
私は誰よりも私を愛してる。家族よりも恋人よりも、長年ファンの大好きな歌手や俳優よりも私は自分自身が大好き。鏡で自分を見る度にいつも惚れ惚れしてしまうほどに。どんな魅力ある相手だろうと私には勝てないわね。だって、私は誰よりも綺麗だから。
そう……私は誰よりも綺麗だ。この美しさは誰にも負けない自信がある。でも、もしこの美しさを失うような事があったら? 邪魔される者が現れたら?
いいえ。そんな事はあり得ない。あってはならない事よ。私の美しさは不変であり続けるべき。
けど、人生に絶対はない。それは今日まで生きてきた中で理解している。でも、もしそんな事態が起きそうになったら?
私はあらゆる限りを尽くしてそれを阻止してみせる。たとえそれが……。
……人の命を亡きものにすることになったとしても。
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