エントリー・ザ・スマイル(入学・入部) セブン!

既に新入生より先に上級生はHRを終えて部活動の準備が整っていたらしく、漫研以外の生徒はいないみたい。

改めて事情を話して漫研の皆さんに謝ることとする。


「落書きしてすいませんでした!」

「話は先生から聞いてたよ。でもまぁ、描いた後は見ないし、いずれは消されるもんだし、君じゃなくても落書きする子とかはいるだろうしねぇ…」

そうだよねぇ、そうだよねぇ。

部長さんが優しい。

いてっ。かっちゃん、爪をぼくの手に立てないで。

「そもそもこっちも落書き…?」「お前はそうだろう」「ん~」「けっこう俺はマジにやった」「まぁ」「でも…」「上からなんかやったわけじゃないなら別に」「………」「心意気や良し」


いろいろな人がいるなぁ……。でも、そっかぁ。ぼくは笑顔にしたかったけど、この人達の邪魔した形になったんだな。少なくともここにいる人達を全員笑顔にはできずにいる……。

……………………。

当初の作戦としての新入生をターゲットに笑顔にできてるかもびみょ~んなとこだし、いろいろ作戦に穴があったかな。


「とりあえず、僕らからとしては最初だし、特に何か言うことはないよ。でも真剣にやってる人に対しては良くないことだから、気をつけるように。……美術部には…?」

「まだ行ってません」

「この次に行きます」

かっちゃんとシュウの仲がいい。

「あっちはこうはいかないんじゃないかなぁ……。今からでもちょっと行ってきたら?」

早めがいいとのことなので。

ぼくは漫画は描くより読む方が好きなので、「どうしても話を聞いてきたい」と言うシュウを残してぼくとかっちゃんとで美術部に向かった。


「おい、ヒカル」

「なんだ、かっちゃん」

「とりあえず入室したら部長に会って、事情説明してから皆さまに謝罪だ」

「わかった。プランJだね?」

「お前のマナーに対する優先順位、ほんと低いよな?!」


で、かっちゃんが美術室のドアをコンコン。

「なんで俺が…」みたいな文句言わないで一緒に謝ってくれるとこ、好きよ☆

「ウィンクすんな。なんだ、気持ち悪い………失礼しまーす」

「しまーす」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る