イラスト少女とオタ系男子

Kusunoki Kotoha

第0話

気がつけばこれは僕のそばにあった気がする。

それでいてつい最近になって手に入ったものだ。

そんな曖昧な「それ」は僕の中に混ざり合って僕は「異能者」になった。

これはそんな僕のくだらなくも夢溢れる日常のお話。



それに気付かされたのはつい最近のこと。

その日俺はいつもの様に紙に向かいペンを走らせていた。

描いているのは『自分がいちばん好みな女の子』

長めの髪、ゆるく微笑む口元、全体的に地味でありながら溢れ出る可愛さ。

これぞ俺の好みな女の子。

我ながらなかなかいい出来栄えになる予感に自然と俺の口元も緩んだ。

今回描いている絵はとあるイラスト投稿サイトにあげる絵とあって、できるだけ丁寧に描いていた。

それも手伝ってか、完成度が底上げされているのかもしれない。

ちなみに俺は「リヒテル」という名前で投稿している。

どうやら最近少しずつ一定のファンがつきつつある様だ。

自分の癖に従って最後に目を描き入れて完成した女の子は正にじぶんの理想どうりの出来栄えだった。

なかなかの出来栄えに我ながらその紙の中の女の子の微笑みにため息が出た。

早速ピクs‥‥某画像投稿サイトに写真を投稿する。

一通りの作業が終わり一息をつきつつもう一度まじまじと見る。

自分で自分の理想の女の子を描いただけあっていわゆる「どストライク」「超好みの女の子」だ。

我ながらあまりの可愛さに一言呟いてしまった。


「三次元にいてくれたらなぁ‥‥」


俺の様な人種、いわゆるオタクなら誰でも夢見たことがあるのではないだろうか。

『二次元ヒロインに三次元に来て欲しい』

もしくは

『自分が二次元に入りたい』

と。

俺もそれはいつものことではあった。

しかし今回はこの後が違ったのだ。

‥‥その夢は叶ってしまった。

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