眞鍋 3
幼い頃から本を読むことや勉強することが大好きだった。
そんな私を見て親は
「外で元気に遊んで来い」
と本を取り上げ、家の外へとほおり出す。
いつも1人で本を読んでいたから、公園に行った所で同じ年代の子と上手く遊べる訳もなく、ブランコすら1人で乗れない状態。
だからいつも隅の方で縮まって、親が迎えに来るのを待っていた。
親が迎えに来る前に家に戻れば、また怒られる。
親の姿が見えたら、近くにある空いている遊具で遊んでいる振りをした。
そして親の
「楽しかった?」
の問いかけに対して、いつもこう答える。
「うん!とても楽しかった!
今日はずっとアキちゃんとブランコに乗って遊んでいたの!
勿論アキちゃんなんて子は存在しない。
架空の人物。
それが嘘とも気づかず
「そう。いっぱい遊んでお腹空いたでしょう。
今日は貴女の好物のハンバーグを作ったから、いっぱい食べましょうね」
親はニコニコ微笑み機嫌が良くなる。
親は私の事を一切理解していなかった。
自分たちは理解しているつもりでも、それは全て嘘の姿。
実の子の事を何もわからないただのポンコツ。
そんな親の姿を見て、私はまだ幼いにも関わらず、親の事を滑稽な生物としか思っていなかった。
親子愛とかそんな物も芽生えず、私にとってはただ私の事を養ってくれる人という印象。
この頃から私は人間に対して興味を失っていたような気がする。
学校へ入ると、大人しかった私はすぐにイジメの対象になった。
頭が悪い癖に、自分たちの身を守る為や暇つぶしにイジメをする下等な生き物。
イジメっ子がそれにしか思えず、しばらくの間は我慢して相手にしていなかったのだけれど、それもあっという間に限界になった。
ある日、私はいつものようにからかってきた男子に向かって、椅子を持ち上げ振り下ろした。
椅子が男子に軽く当たる。
「痛ぇーな!お前俺に対して歯向かったらどうなるかわかってるんだろうな!」
・・・・・何も出来ない癖に偉そうに。
私は何度も何度も椅子を振り下ろす。
男子は最初のうちは抵抗したものの、頭や鼻、口から出血がし続けると泣き出し、丸くなり抵抗できなくなった。
それでも私は椅子で殴り続ける。
・・・・・今までの恨み。
誰かが先生を呼び、私は押さえつけられその場は収また。
その後、親が相手側に謝ったのか何かしたのは覚えていない。
ただ、その一件以来、クラスメイトは私の事を腫れ物扱いをし、私も納得が出来ない事があれば、大きな声で威嚇した。
結局弱いからつけ込まれる。
やり返す人間に対して、イジメっ子は弱い。
そう気づいた私は常に大声でハイテンションな身の振る舞いをし、周囲の人間を威嚇し続けた。
頭の悪い下級生物にバカにされてたまるか。
私は泣き寝入りするのが大嫌いなの!
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