死ぬと生きる 11

移動中の車内。


「鼻歌を歌うなんて。

今日のミカさんは機嫌が良いんですね」


係員はニヤリと気持ち悪い笑顔を浮かべるが、一切無視をした。

アンタとアタシは、立場が違うんだから、気軽に話しかけてくるんじゃないわよ。



所詮アンタは、何も持たない生身の人間。

こいつが居なくなっても、代わりなんていくらでもいる。


でもアタシは違う!

漆黒の翼を埋め込まれた人間は4人しかいない。

最近、他にも漆黒の翼を埋め込まれた人間が量産されたみたいだけど、全滅したって聞いた。

生き残ってるアタシは、選ばれた人間って事じゃない?

あいつとは、格が違うのよ、核が。




目的地となる学校へと、車は到着。

学校関係者が一列に並び出迎える中、アタシは一番に車を降りる。


校舎の方へと歩いてるのに、係員は一向に車から降りる気配はない。

ずっと座席に座ったまま、ニヤリと笑いながらこちらを見てる。


「さっさと来なさいよ!時間が勿体無い!」


一刻も早く、人を殺したいの。

だからイライラしていた。

どっしりと座ったまま、動かないあのキモ男に。


すると、係員はいつものようにニヤリと笑いながら、



「え?私も一緒に行った方がいいのですか?そうですねぇ・・・そこまで言うなら、わかりました」


ノロノロと車から降りようとする。

え?車の中で待ってるつもりだったの?

なんだ!

朝の会話からして、てっきり係員も一緒に来る物だと思っていたのに、意外だわ!


居ないにこした事はない!



「いや、いいわ!来なくていいから、そこで待ってて!」


車から降りようとする係員を、車の中へ無理やり押し込むと、扉を閉めた。


な~んだ。

あいつが来るから、少し厄介になると思ったら、来ないんじゃん。

なら、楽勝ね。




係員を車内に残し、アタシは関係者と共に校舎へと入る。


「まずは、こちらの客室へどうぞ・・・」


一番偉そうな顔をしたオッサンが、客室がある方向へと手招きをした。

そんなの時間の無駄。

ミーティングなんていらないの。


アタシは左手にかぎ鉄鋼を出すと、、それをオッサンの首元に突きつけた。



「いらないわ。適当に狩ってくるから、書類は全て焼き捨てなさい。

歯向かえば、どうなるか?わかってるわよね」


そう吐き捨てると、生徒達が集まる教室へと向かう。



何処から殺ろうかしら?

今日のアタシは機嫌が悪いの。

鼻歌を歌ったのは、憂鬱な気分を紛らわせようとしただけ。

この鬱憤を晴らす為にも、たくさん殺してやるわ。


何人殺したっけ・・・・?覚えていない。

早く帰ろう。

この生臭い血を、早く洗い流したいの。


見送る人間は、誰も居なかった。

校舎から出てきたのは、アタシ一人だけ。

返り血をベッタリ浴びた状態で、車へと歩いていく。



近づくと、係員が車から降り、扉を開け出迎えた。


「お疲れ様です。凄い返り血ですね」


「・・・・・」


「さ、早くホテルへ戻りましょう。

ミカさんも早く、お風呂に入りたいでしょう?」


「・・・・・」


返事をしないまま、アタシは無言で車の中へ乗り込む。



たくさん人を殺したのに、心のモヤモヤは消えなかった。

それもこれも、地元に帰ってきてから見る夢のせいね。

何故、今更あんな夢を見たのだろう?

思い出したって、仕方がないのに。




「・・・・はぁっ」


夢の事を思い出した途端、疲れがドッと出て肩が重たくなった。

それが原因で、大きなため息をついたっていうのに、

そんな事とは知らず、係員はニヤつきながら、



「今日は何人討伐したんですか?

時間も結構かかったみたいですし、ミカさんがため息を付くなんて珍しいですね」


予想外の質問に、アタシは目を丸くする。

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