ミカ 2

車の扉を閉める寸前、係員目が合うと、


「そういえばミカさん。食料は持っていかなくて、いいんですか?」


不気味にニタァ~っと微笑む。


食料?そんな物いらないわ。

だって、今は必死に食べなくても、痛みを紛らわすのなんて簡単。

人を殺せばいいのだから。



「いらないわよ!あんたねぇ、もしかしてアタシの事、大食い女とでも思ってる?

いつでも食ってばっかりじゃないわよ!」


そう吐き捨てると、車のドアを思いっきり閉める。

アタシが大食い女だと思われているのも、こんなにたくさんの人をころさなくちゃいけないのも、

全部あのクソ女王のせい!!

あいつが、アタシの指を切断しなければ、こんな事にならなかったのよ!!



隣のシートには、今から向かう学校の資料が無造作に置かれていた。

それを拾い上げると、目を通す前に、ビリビリ破いていく。





涼と別々に討伐するようになった日。

いつもなら、その学校の一番偉い人物と、ミーティングをしてから、

イジメっ子を殺していくのだけれど、



「ミーティングなんてやんないわよ。

犯罪を犯さない人間なんて、この世界になんて何処にも居ないんだから。

目に付いた生徒を適当に討伐するわ。

それで、この学校の討伐は終了ってね」


そう言い、校長の隣をすり抜けた。



「いえ!あの!・・・政府の方から、しっかりミーティングをしてから討伐するように言われてまして・・・!」


アタフタしながら、アタシの後を付いてくる校長を一睨みすると、



「アタシの邪魔をしたら、殺すわよ?

いい、これから起る事は、秘密厳守。

勝手に喋ったら、どうなるか?わかってるわよね・・・・」


口止めをすると、一番手前にあった教室から生徒達を、一人残らず殺していく。

5つの教室を回り終える頃には、右手の痛みも消えていて、



「もういいかな。これで今晩もゆっくり眠れるわね」


この学校での討伐は、すぐに終了した。



アタシに資料なんて必要ないの。

誰が誰をイジメたなんて、そんなの関係ない。

殺す人間は、適当に目に付いた奴。

だから、読む必要なんてないでしょ?


「今日は高校で任務か~・・・最悪。

高校生に団体で抵抗されると、流石のアタシも少し辛いのよね~。

小学校低学年が一番ベストなんだけど・・・・。


学校を全部回りきった後、次は会社関係を討伐ってなったらマジで最低!

大人になればなるほど、変に知恵が付くから、きっと抵抗してくるに決まってる。

万が一、怪我したらどうするのよ!」



運転手は、無言で運転をし続ける。


ブツブツ呟いているうちに、車は高校へと到着。

車から降りると、すでに数名の先生と校長が待ち構えており、目が合うと深く頭をさげてきた。



「はい、どうも~」


隣をすり抜け、校舎へと歩く。

こいつらと、イチイチ会話するのも面倒だわ。


その様子を見た、校長は慌てて



「あの!どちらへ・・・・」


と、言いながら追いかけてくる。


「どちらへって、見てわかんないの?校舎に入ろうとしてんのよ。

っていうか、何?こんな寒い中、ずっと外に居ろとでも言うわけ?!

アタシを誰だと思ってんのよ!」


横目で睨みつけると、



「いや!あの・・・!では、こちらの部屋へまず・・・・」


と、アタシが進みたい方向とは別の方向へと、校長は手招きをする。




うるさいなぁっ!

そっちじゃなくて、アタシは教室に行きたいのっ!


今日のアタシは機嫌が悪い。

今朝の涼のクソ生意気な態度を思い出し、イライラもピーク。

あのクソ係員のキモイ笑顔も見ちゃったし、気分最悪。



だから・・・・。

我慢・・・・・・出来ないのっ!



左手から瞬時にカギ鉄鋼を取り出すと、校長の喉をそれで一突きした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る