消せない傷跡 14
「ま、マリアが精神的負傷したって・・・・?」
なるべく冷静を装って聞いたつもりだった。
しかし、係員は何かを悟ったみたいにニタ~っと笑うと、
「えぇ、少し錯乱状態でしてね?
一応安定剤を投与したのですが、効かないんですよ。
なので、一度真鍋さんに見てもらう事にしまして・・・・。
まぁ、ここの所討伐が立て込んでいたから疲れたのでしょう。
少し休んだら、また元気になりますよ」
少しの錯乱状態?
あれが?
少しどころじゃないだろ・・・・。
マリアの事は気になったけど、ヘタに突っ込み、詮索されるのは嫌だ。
というより、このオッサンは昨日の出来事を何処まで知っているのだろう?
色々謎は残したまま、
「では、朝早くから失礼しました。
朝食まで、まだ少し時間がありますから、2度寝してはいかがですか?」
不適な笑みを浮かべながら、部屋を後にした。
オッサンに2度寝を進められたが、そんな気分にはなれない。
わずかな会話の中に、気になるワードが満載過ぎる。
まず、昨日の討伐数について。
マキ、カナコ、サヤ、ヒトミ、校長の5人しか討伐していないにも関わらず、38体ってどういう事だ?
そして、今日の討伐の事。
俺とミカしか居ないのに、1日で二つも学校を回るんてどう考えても無理。
1日1校片付けるのでやっとなのに。
すでに討伐する人間を縛り上げ、首を差し出している状態なら楽だけど、
まず最初にミーティングがあり、その後討伐する事になっている。
昨日の惨劇があった以上、今日はより念入りにミーティングをしようと考えているのに、あまりに時間が無さ過ぎる。
それとも、今日からは二手に別れて討伐するのだろうか?
最後にマリアの事。
俺達は、漆黒の翼を埋め込まれて以来、薬という物は効かないと聞かされた。
薬が効くといえば、唯一施設を後にする時、真鍋さんに手渡され、俺が保管している錠剤のみのはず。
それなのに、昨日錯乱しているマリアに精神安定剤を投与したとはどういう事だ?
精神安定剤なら、俺達にも効果があるのだろうか?
それとも別の理由が・・・・?
考えたってわからないけれど、気になる。
まさか真鍋さんと女王様が、俺達を裏切るなんて事有り得ない!
ただ俺は、答えがない答えを、必死に考えていた。
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