第105話人とモンスター 4
「よぉ、校舎内のモンスターを、全て討伐したよ」
相変らずマリアを腕の中に抱いたまま、特にモンスターを討伐する事なく、
何の役に立たなかったハヤトの声をかける。
「・・・全て・・・討伐しただって・・・・?」
驚いた表情をしながら、俺の方向を振り返るハヤト。
なんだって言うんだ?
あ、もしかしてこの血まみれの制服が気になったのか?
ほとんどモンスターを討伐していないお前とは違い、俺は何十何百と討伐したんだ。
制服だって汚れる。
そんなに驚く事でも、ないだろうに。
「あぁ、討伐した。チョコチョコ逃げ回って大変だったよ。
流石モンスターに落ちぶれただけあるよな。
大人しく討伐されようとしない。
あ~、疲れた。早く車に戻ろう」
ハヤトに背を向け、車が待っているであろう方向へと、歩く。
俺がリーダーなんだ。
皆、俺の言う事を素直に聞く、そう思っていたのに。
「何故、皆討伐する必要がある?!
何もしていない人だって、居たはずだ!
友達はどうした?!勿論逃がしてあげたんだろ?」
背後から、ハヤトの怒鳴り声が聞こえてきた。
どうやら、真鍋さんや女王様だけで納まらず、俺にまで突っかかるつもりらしい。
あー・・・、うるせぇ。
頭を掻きながら、後ろを振り返る。
すると、もう車へ戻ると言っているにも関わらず、相変らずマリアを抱きかかえたまま座り込んでいるハヤトと目が合った。
まるで俺を軽蔑するかのような目つきを見た途端、俺も腹の底から怒りが込み上げてくる。
役立たずが、俺にまで歯向かう気 な の か ・・・・・。
「はぁ?何言ってんの?聞こえなかったのか!全て討伐したって言ったんだよ!
女王陛下と真鍋さんの命令を、俺は守る。
何もしなかったお前とは、違うんだ!」
そう、役立たずのお前とは違う。
俺は二人に忠義を誓ったんだ。
偽善者ぶった台詞ばかり吐き、何もしようとしないお前に、偉そうに言われる筋合いなんてない!
「命令?忠義を誓う?・・・例えそれが、人殺しだったとしてもか?!
それは違うぞ、涼!間違えてる。
例え女王や真鍋さんの命令でも、行動出来る事と出来ない事がある!
あんな奴らの為に、友達を殺すなんて、僕には出来ない!
だってそうだろう?君にだって、大切な物があるはずなんだ!」
あ?何言ってんの?
女王様と真鍋さんの命令なら、俺は何でも聞くよ。
だって二人が居なければ、今の俺は居なかったのだから。
つーか、友達なんて居ないし。
大切な物だってない俺にしてみたら、今一番大切な事は女王様を守り抜く事それだけだ。
「流石いい子ブリッコのハヤトは言う事が違う。
同じ立場に立たされたら、どうせお前だって簡単に友達を殺す癖に。
まぁ・・・、お前に友達が居ればの話だけど」
ニヤっと笑うと、ハヤトは唇を噛み締めてにらみつけてきた。
お前は所詮その程度の人間なんだ。
友達だのなんだの叫んどいて、本当は自分が一番大事。
「下らない言い合いは、もういいだろ?早く車へ戻るぞ」
呆然と立ち尽くすミカにも声をかける。
先ほどから、微動だにせず、立ち尽くすミカの姿は、まるで電池が切れたオモチャみたいだ。
あれだけ勢いよくモンスターを討伐したから、疲れたのだろう。
すると、今まで目をつぶってハヤトの腕の中に抱かれていたマリアがゆっくりと目を開け、
「私はアリスを殺す事は出来ない。それが女王陛下の命令でも・・・・」
ボソっと呟く。
「・・・・アリス?」
ハヤトが聞き返そうとしたけど、それを話し出したら長くなる。
俺は一刻も早くホテルに戻り、この汚い血を洗い流したいんだ!
「話は後!早く戻るぞ!」
動こうとしない3人に怒鳴りつけると、一人でスタスタ車が止まっている方向へと歩き始めた。
皆渋々、俺の後をついてくる。
全く、初めから素直に言う事を聞けよな!
車に乗り込むと、皆黙り込んでいた。
全員浮かない表情。
初めての正式な任務だから、疲れたんだろう。
俺も、窓の外を眺める。
マリアまで、何言ってるんだ。
アリスを殺す事は出来ない って。
もうアリスは死んでいるんだから、殺すなんて不可能なのに。
皆変なの。
きっと疲れたからだ。
マリアが俺を裏切るはずはない。
だって、俺達は似ているから・・・・・そうだろう?
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