第101話過去との決別 9

「お願い!ヤメて!」

「友達じゃない!」

「裏切るの?!」

「信じてたのに!」

「一生恨むから!!」


志田の声だけが、教室に響く。

石川は、何も言わず、志田の上に跨ると、両手を首へと伸ばした。

無我夢中で志田の首を絞める石川。

志田も志田で、抵抗したのだけれど、男の力に敵うはずもなく、抵抗はドンドン弱くなり、やがてピクリとも動かなくなった。


俺は、ずっと見ていた。

弱くて薄っぺらい、表面的な友情が終わる所を。




「・・・・・ころっ・・・、死んだよ・・・・」


声が震えていた。

こちらから、石川の顔は見えなかったけれど、きっと泣いていたんだと思う。


何故、石川は泣いたのだろうか?

自分が人殺しになった事が、そんなに嫌だったのだろうか?

わからない。




「よく出来きました。じゃあ、約束通り助けてやるよ」


軽く拍手をすると、石川はゆっくりこちらを振り向いた。

涙を流しながら、口元は笑っている。

なんとも、不気味な表情だ。



俺は剣を振り上げると、真っ直ぐ石川の右足を切断した。

血痕が飛び散る。



「ぎゃあああああああああ、なんでぇええええええええ」


先ほどの表情とは一変し、叫びのたうち回る石川。

哀れだ。

生きる事だけが、助かると思うなんて。


昔の俺は、死ぬ事で 地獄の日々から逃れよう と思っていた。

生きる事が恐怖で仕方がなかったんだ。

だから、お前の事は殺す。

それが俺が出した、お前を助けるという答えだ。


その石川の顔を踏みつけると、



「助けてやるって約束しただろ? だから、殺してやるよ。

友人を殺した重荷を背負いながら、生き続けるなんて大変だろ」


首を切断した。




静まり返った室内。

転がる3体の遺体。


俺をイジメた主犯格の奴らが、全員死んだ。




「ははっ・・・・。俺は英雄になるんだ・・・、ははっ・・・・」




俺の声だけが、響く。

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