第38話混乱 1

あれ・・・・?どうしちゃったんだろう・・・・?


目を開くと、真っ白な天井が見えた。

手を動かそうとしたが・・・・、ピクリとも動かない。



段々と、自分の置かれた状況がわかってくる。



そっか・・・・・。

アタシ助かっちゃったんだ・・・・。



あの日、アタシは 自分の犯した罪 の重さに耐え切れなくて、首のロープを巻いた。

これで、ようやく 罪 から開放されると思っていた。

死んだと思ったのに・・・・・今、病院のベッドの上に居るという事は、助かったんだ。



しかも、指一本すら動かす事も、声を発する事も出来ない。

ただ、天井を見上げるだけなんて・・・・・あまりに残酷すぎる。


これじゃあ、もう自分で死ぬ事すら出来ないじゃない。



最悪。




その後、看護師が定期的に見回りに来て、点滴を取り替えていたけれど、会話する事はなかった。

アタシはただ、天井を見上げるか?眠るだけ。



食事すらする事もなく、自分で排泄すら出来ない。

何のために生きているのだろう?


いや、違う。

これは、きっと 罰 なんだ。


アタシが犯した罪の重さを、見かねた神様が、下した罰。


アタシはこの生活を、死ぬまで過ごさなくちゃいけないんだ。

辛いな・・・。


お願いだから、殺してよ。


謝ったって、どうする事も出来ない。

取り返しのつかない事を、アタシは犯してしまったのだ。


それはわかっている!・・・・けれど、アタシはその 罰 を受け入れる事がとても嫌だった。



例え自分が罪を犯したとしても、 罰 は受けたくない。

やっぱり、アタシは、自分が一番可愛いと思う。


この生活を続けるのは 神様アタシに下した罰 だと思っていた。

しかし、月日が流れるにつれて、手足は動くようになり、

喋る事も自分で食事をする事が出来るようになったアタシは、

点滴を取替えにきた看護師さんに、思い切って声をかけてみることにした。



「ねぇ、あの・・・アタシはどうしちゃったんですか?」


しかし、看護師さんは苦笑いを浮かべると、



「ごめんね。貴方とは会話してはいけないと、上の者にキツク注意されているから」


そう言うだけ。



「上の者って誰?アタシ、死んだんじゃないの?

お願い!教えて!何があったの?」


必死に問いかけても、



「言えないのよ。今度、上の者に聞いてみるから、それじゃあね」


と、足早に立ち去っていく。



わからない事ばかりだ!

24時間、ずっと付けっぱなしの点滴も、この止まらない食欲も、何がどうしちゃったのか?わからない!

左手首にある、このブレスレットみたいな物も、取ろうと引っ張ると、皮膚から血が流れる。



ねぇ?アタシ ど う  し  ち ゃ っ た の  ?




そんなわからない日々を続けていたある日。

見知らぬ女性が、病室を訪ねて来た。


その人は、私を見て、ニッコリ笑うと、



「初めまして、ミカ。私は真鍋っていうの、よろしくね」


そう言い、左手を差し出してきた。



「どうも、よろしく・・・」


アタシも左手を出し、真鍋と名乗る女性に握手をしようとした時、

真鍋は左腕を掴むと、自分の方へ力強く引っ張った。



「痛っ!」


そんなアタシの声を無視し、真鍋はじっくりと左腕についてある、ブレスレットを眺める。



「うん、いい出来!やっぱ4回目ともなると、完成度が高いわ!」


このブレスレッドを付けたのは、もしかしてこの人なのだろうか?



「あの、コレについて、何か知っているんですか?」


思い切って、質問をしてみるが、



「知っているわ。でも、貴方に教える必要はないの」


そう答えた。

え?何言ってるの?

これはアタシの身体なんだから、アタシが一番に知る必要があるじゃない!

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