小夜曲集
今村広樹
探偵さん
バタン!
T
『なんだい、騒がしい』
『大変なんですよ!今日も訊きたいことがあるんだ!』
『君ね、寝ている人間がいる近くで、よくそんな大声を出せるね』
『あ、すみませんでしたー!』
『…いや、もういいか』
探偵は嘆息した
T
ただ、この探偵には悪い癖があって…
話を続けるとT警部は事件のあらましについて、話始めた
『いやね、A地区のアパートで
最後に目撃されてから、第一発見者の
また、部屋はあいたままでした
で、犯人は誰だと思います?』
『なんだい、その藪から棒な訊き方』
『すいませんね、早く訊きたいもんで』
探偵は、深いため息をつくと、おもむろに話し始めた
『君は、群衆の人という短編をしってるかね?』
『いえ』
『そりゃそうだ、君が読書好きとは聞いた事ないからな
エドガー・アラン・ポーの短編さ
人の観察が好きなやつが、老人を追っていくだけの』
『それが、この事件と何の関係が?』
『つまりね、犯罪の要素というのは街の人混みにまぎれることもあるということ』
『?』
『第一発見者の宅配業者を調べてみたまえ
どうせ凶器を投げる機会がなかったとかで、持ってるはずさ』
『ああ、なるほど!』
T警部が大声でいう
『さっそくそいつを調べましょう!!』
と、少年が起きて、不機嫌そうに言った
『うるさいよ』
『あ、ああすまん』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます