第22話外れぬ首輪 2
家に帰れば、
「ねぇ!!デートどうだったの?アンタ達はどこまで進んでるわけ?」
母が彼との事についてしつこく聞いてくる。
「別に何も進んでないよ」
適当にあしらうと部屋に閉じこもった。
一生懸命彼の事を聞いたって、意味ないのにね。
だって彼は、貴方が一番嫌がる×があり子供が居る人間だよ。
彼の話を聞けば、きっと貴方は気分が悪くなるに違いない。
彼には×が2つと子供が居る。
奥さん達とは連絡をとっていない。
彼と結婚すれば、この家から出る事が出来る
それと同時に私は実家での居場所がなくなる。
私の事をゴミ扱いし続けたこの空間。
無くなった所で、痛くもかゆくもない。
♪~♪~
メールだ。
To 岡野裕也
Sub 無題
Text 今日は僕の話を聞いてくれてありがとうございました
真面目に生き苦労してきた人間は 幸せになる権利がある
僕は今の会社を定年まで働き マイと結婚して子供と皆で楽しく暮らしたい
僕が必ずマイの事を幸せにします
彼のその言葉を信じると決めた。
同じ外れない首輪を嵌められた者同士、支えながら生きていく。
例え家族と疎遠になり帰る場所が無くなったとしても、彼がいるなら問題ないよね。
「あのさ・・・・、今度マイの親御さんに会わせてほしい。
それで、僕の家で一緒に住もうよ。
仕事も辞めて欲しい。
早く結婚して赤ちゃんが欲しいんだ。
僕の両親にも会ってよ」
・・・・・プロポーズなのだろうか?
彼はそう言うと、隣でスヤスヤ眠り始めた。
彼と一緒に人生を歩もうと決めてから、どれくらい月日が流れただろう。
気付けば月の半分は彼の家に入り浸るようになっていて、母も姉もなんとなく彼の事には気づいていて明かに態度は変わった。
母は彼に×がある事も子供が居る事も知らないから、
「立派に働いてる人を連れてきてくれて嬉しいわ」
と喜び、
姉はまともに働いてる人が彼氏だと知ると
「なんでアンタだけ・・・・・お前の事をそんなまともな人が好きになるとかありえない!」
と怒り、
姉の彼は
「へぇ・・・・・・こんなブスでもヤる事はヤってんだ・・・・・」
とニヤニヤ笑う。
彼と出会い私の生活は一変した。
彼が私の家に来る。
私は今の家を捨て、彼の家で新しい生活を始める。
やっとあの家を出る事が出来る。
全ての柵から解き放たれる事が出来る。
同じ首輪を嵌められた者同士、傷を互いに癒しながら手を取り合い生きていく。
頑張ろうね。
私は眠っている彼の手を握りしめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます