第18話隠し事 4
「兄弟は姉が1人います」
「結婚してるの?」
「いえ、まだしてなくて・・・・」
「彼氏は?」
「彼氏は居ますね・・・・・」
隠しておきたい話だから、上手く話すことが出来ない。
彼が初めて私について聞いてくれたから、頑張って答えたいけど内容がねぇ・・・・。
会場に着き、また当たり障りのない話をする。
今日の情報は少な目だった。
ただなんとなく彼には、奥さんやお子さんが居たんじゃないのかな?という説だけは強くなった。
根拠がある訳じゃない。
なんとなく。
なんとなくだけど、彼の仕草や行動。
小さなお子さんを連れた家族連れを視線で追ったりしていたから。
帰り道。
「次の休みはいつですか?また会いたいです」
次のデートの約束が、
「じゃあ、○曜日の○時に待ってます」
あっさり決まる。
少しずつ着実に枯れとの距離が縮まる。
嬉しい反面、もし×有子持ちだったらどうしようという不安。
うちの家庭は彼みたく立派ではない。
だけど、×有子持ちは許してくれないの。
私の事をゴミとしか思っていない家族のご機嫌を取るの?
だって私には家族しか頼る人はいないから。
だけどその家族は私の事、人間扱いしてくれないじゃない。
考えたところで、答えなんて出てこないのにね。
次のデートはウィンドウショッピング。
宛もなくフラフラしながら他愛のない事を話したり、相手の好みを知ったり。
家具を見るのが好きな彼。
特に欲しい物があった訳じゃないけど、一緒に家具屋さんを覗きに行った。
「部屋にソファーが欲しいけど、置く場所がないんです。
テレビが小さいからテレビの目の前に置いても大丈夫といえば大丈夫なんですけど・・・。
岡野さんの家のテレビの大きさはどれくらいですか?私の部屋のは19型です」
何気ない会話のつもりだった。
なのに彼は苦笑いを浮かべ黙る。
「どうしたんですか? あぁもしかしてテレビが家に無かったとかですか?」
この世の中テレビがない家なんて無いと思ってた。
無かったら「ない」って言ってくれればいいし、別に難しい質問じゃないと思うんだけど・・・。
「いやあるよ。ただうちのテレビ少し大きいから・・・・」
歯切れの悪い返答。そして苦笑い。
何か隠してる?言えない事がある?
「テレビが大きいって事は、家が広いんですね。広くないと大きなテレビ置けないですし・・・・」
「家は広いよ・・・・・。ちょっと訳があって・・・・・」
「あの・・・・岡野さんって独り暮らしですよね?1人で大きな部屋に住んでいるんですか?」
「独り暮らしだよ。うん・・・・今は広い家に住んでるね・・・・」
やっぱり私の予想は当たってる。
テレビの大きさと歯切れの悪さに、確信をした。
彼はバツ有り子持ちだ。
独身男性が1人で広い部屋に住むはずはないし、大きなテレビを買おうとも思わないだろう。
結婚し、離婚したから今そこに一人で住んでいるんだ。
その話を彼の口から聞きたい。
しかし、それを聞いて良いものか?迷った。
彼から話すのを待つか、私から聞くべきか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます