第7話愛情表現 2

どう返事を打てばいいのか・・・・。

何も思い浮かばないまま、自宅であるアパートにたどり着く。

鍵を開け、玄関を開ければいつもに小汚い男物のの靴が目に入る。

廊下にまで響く、汚い笑い声。



あーーーーーーーーーーーー・・・・、この声のせいで今日も寝不足決定だわ。



岡野さんが姉彼みたいな奴だったら、


「メール送り過ぎ!ウザいよ(笑)」


なんて冗談風に送れるんだけどね。

そんな冗談は全く通じなさそうな雰囲気だし。

っていうかこの人、冗談とか言うのかな?



まだ私は岡野さんの事、好きとか嫌いとかよくわからない。

メール始めたの今日だし!

だから 好き と言われた所で、何て返事を打てばいいのかわからない。



だけど、この地獄の環境から救ってくれるのなら、

別に好きじゃない相手だとしても、私の事を愛してくれるのなら結婚出来る。

私はそれで構わない。



きっと私は、誰かを愛するなんて出来ないと思うから。

愛するという感情がわからない。




携帯を操作しながら廊下を歩く。

途中でいつものように、姉の部屋から姉彼がヒョイと顔を出した。



「携帯イジるとか珍しくね?まさか男が出来たとかー?」


「・・・・・・」


「いよいよ、処女卒業っすかー!」


「・・・・・・」



相変わらず、下品でウザい男だ。




To  岡野裕也

Sub 無題

Text ただいま!家に着きました。

   朝からお仕事して、眠たくないですか?

   私は今からご飯食べたりシャワーをするので、返事が出来ません。

   眠たくなったら、先に寝てください^^



彼と私の生活する時間は正反対。

これくらいの気遣いはして、当然だよね?



送信っと。


携帯をベッドに放り投げると、クローゼットから着替えを取り出す。


♪~ ♪~


メール受信音が鳴り響く。

携帯を見なくても誰かはわかってる。



To  岡野裕也

Sub 無題

Text おかえりなさい お疲れ様



やっぱりね。

マメは人だ。


メールに返信はしなかった。

返信したらまたメールが来て、永遠にシャワーに行けなくなってしまいそうだったから。



部屋を出て下品な笑い声が響く姉の部屋を通り過ぎ、浴室へ向かう。

姉彼も使っていると思うと、本当は使いたくもない。

汚い。



早々にシャワーを上がると、メールは2件受信されていた。

たった20分くらいの時間で2通も送ってきたの?

私にメールを送ってくれる人なんて、岡野さんくらいしか居ない。



To  岡野裕也

Sub 無題

Text 僕も シャワー浴びてきます



To  岡野裕也

Sub 無題

Text シャワー 上がったよ^^



・・・・・・。


「フッ・・・何これ」



下らなくて思わず笑ってしまった。

そんな報告しなくても良いのに。

何でもいいから、メールを送りたい人なんだ。



To  大西舞子

Sub 無題

Text 今シャワーから上がりました。

   同時にシャワーしてたんですね^^



私もくだらないメールを送る。

今まで付き合った経験も少なかったから、異性に対してどんなメールを送ったら良いのか?わからなかったけれど、こういう事なのかも。

くだらない話をダラダラメールして、お互いの事を少しずつ知っていく。

それって面白い事かもしれない。

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