第4話出会い 4

翌日。

PM12:20。


この時間帯ならメールを送信しても大丈夫な頃だろう。

彼に初めてのメールを打つ。




Sub ××で働いている大西です。

Text お仕事お疲れ様です。

   昨日はありがとうございました。

   よろしくお願いします^^



昨日のお礼をサラリと埋め込みつつ、あまりガッツかずに・・・っと。


本当は色々聞きたい。

何処で働いてるのか?

何歳なのか?

誰と一緒に住んでいるのか?

とかね。


だけどまだ出会ったばかりだから、聞くのは控える事にした。

うるさい女だと思われたくなかったから。

まだ彼がどんな人なのか?わからない。

誠実そうに見えて、実はそうでもないかもしれない。

捨てられるかも知れない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・実の父親がそうしたように。




どうせ返信なんてすぐに来ないだろう。

話題を振った訳でもないし、会話のキャッチボールになる内容なんて1つもないしね。


携帯を枕元に投げ捨てると、ベッドに潜る。

昨日隣の部屋から聞こえてきた下品な声のせいで、眠れなかった。

寝不足なのよ。

今日も夕方からバイトがある。

無職の男と違って、私は働かなくちゃならないんだから。




目をつぶってから5分くらい経った頃。

メールの着信音が響く。


ようやくウトウトし始めて眠りにつこうとしていた時だったけど、

耳元に携帯を置いてあった為に強制的に目が冴えた。



携帯を開きメールフォルダを確認する。

そこには見慣れないアドレスから1通メールを受信していた。





Sub 無題

Text お疲れ様です

   メールありがとうございました

   昨日はお仕事中に 突然話かけてすみません

   僕は岡野裕也と言います

   僕は○○市で○○という仕事をしています

   今は昼休憩で13時まで 休んでます

   休憩は 10時と12時と15時 にあります

   仕事は朝の8時から夕方の5時までですが 残業もあります

   最近は忙しくて 今日も残業になりそうです

   大西さんの一生懸命働く姿に惹かれ 気づけば大西さんが見たくて お店に通うようになっていました

   そして昨日 抑えきれなくなり告白しました

   仕事の邪魔をして申し訳ありません

   大西さんの事 好きです

   本気です

   後悔はさせません

   大西さんの事 色々知りたいです    

   では仕事に戻ります

   今日は寒いので 風邪には気を付けてください

   またメールします




長っ!

そして、なんだろう。

この独特の文章は。

、 や 。 がない。

個性的というか何というか。

あんまりメールとかしない人なのかな?



すぐに返信しようか、正直迷った。



本当は送りたい!

すぐに返信したい。

こんな私の事を好きになってくれた人だから。

真正面から向き合いたかった。



だけど、やーめた!



ガッツいてるって思われたくなかった。

まだ出会ったばかりだし、私が彼に興味を持っている事を悟られたくなかった。

男なんて自分が愛されてるとわかればなめくさり、すぐに浮気に走る。

そうじゃない男もいるんだろけど、私の場合はそればかりだった。



一人目の彼は付き合って1年経った頃、別の女を妊娠させた。

彼は相手の女に中絶させると言っていったけど、私は相手の女を中絶させるなんて事が怖くて出来ず、

私から別れを告げて関係は終わった。



二人目の彼は付き合ってた頃には5個上の独身だったけど、深い関係になった後、

「実は10個上で子供と妻がいる」

とカミングアウトをし、不倫関係に耐えられなくなり、また私から身を引いた。



そして金を持って失踪をした父親。



男に対して良いイメージがない。

男はいつも嘘をつく。

そして私を裏切り、どん底へと落とす。


男を見る目がないと言われればその通りなんだけど、それでもやっぱり傷つけられると辛いし悲しい。




岡野裕也さん。

貴方は私の事を 本気で好き と言った。

その言葉を素直に信じていいの?

貴方は私の事を裏切らない?




携帯を再び枕元へ放り投げる。

すっかり目は覚めてしまったけど、頭まですっぽり布団を被った。



信じるのは怖い。

だけど愛されたい。


私は男という生物に愛されてみたい。

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