忍者時代10
「くそっ、倒しても、倒してもらちがあかな い・・・」
「朔夜兄さん一端後ろに下がって」
私は朔夜兄さんに後ろに下がってもらい火の術を使った。
「火よ我が命を受け我らの邪魔をする者の行 く手を阻む壁となれ」
火で壁を作り、敵がそれに手こずっている間に走って逃げようとした。だがその時、朔夜兄さんに向かってクナイが飛んできた。
「兄さん危ない!!」
私は朔夜兄さんにあたらないように前にたちクナイで防いだ。
「兄さん怪我してない?」
「俺は大丈夫だが、雪の腕が・・・。」
「これくらいだいじょ」
「雪っ!!」
倒れそうになった私を兄さんが支えてくれた。
「きっとあのクナイには毒が塗ってあったん だ。早く治療しないと雪の命が・・・」
「とりあえず今の毒がまわってない状態なら
なんとかなるよ。だから急いで走ってね兄 さん。私も毒の訓練は里で何度も受けたけ どやっぱり辛いからね」
「目立つが木の上を走ろう」
雪は嫌そうな顔をしたが、渋々了承してくれた。
「雪、もうすぐ楓の屋敷の着くからな」
ドサッという音がして前から急に雪が消えた。慌てて下に降りると雪の腹に矢が刺さっていた。
「どうやら貴様等はここで終わりのようだ な」
いつの間にか弓を持った敵に辺りを囲まれていた。
「雪、絶対術は使うなよ!俺が雪を守るか ら。水よ我らを守る壁となれ」
だがやはり俺の術は雪より弱く未熟だった。矢が何本も通り抜けてきて必死にそれをクナイではじき落とした。
「俺は愛する人さえも自分だけじゃ守れない のか・・・。くそっ!」
俺は自分の無力さに苛立ちを覚え拳をぎゅっとにぎった。すると急に雪はふらりと立ち上がり俺の前に立った。
「ありがとう朔夜・・・。もう良いよ」
そして雪が小さな声で何かを言うと俺は風圧で遠くまではじき飛ばされた。
「これ以上朔夜が傷付くのは見てられから ね・・・。死の業火よ我が命と共に燃え上 がり愛する者を奴らから守る壁となり、奴 らを燃えつくせ」
私は最後の気力を振り絞り術を唱えた。これは火の里に昔から伝わる禁術で自害する時に使えと言われているものだ。
「おい雪!どうしてお前はいつもそう勝手な ことばかりするんだよ」
「ごめ・・・ん・・・さくや」
「謝るぐらいなら生きてくれよ!!なぁ、雪 もおいて行かれる側がどれだけ辛いか知っ てるだろ?」
「つぎ・・・はいっしょ・・・に・・・し あ・・・わせに・・・なろう・・・よ」
「ごめんな雪・・・」
「わ・・・らって」
俺は泣きながら笑顔をつくった。
「大好きだ。この世界でもこの世でもどこの どの雪でも雪だけをずっと愛してる」
俺は嘘や偽りのない本心を伝えた。
「わた・・・しも」
どうしてだろうもっと早く思い出していたら運命は変わっていたのかな。私は胸にある口に出来ない思いを全て伝えるように朔夜兄さんに口付けをした。そして
「あいし・・・て・・・る」
と言った。
「雪、俺はお前を幸せにするために何度も生 まれ変わってやる。だから大人しく俺に幸 せにされろよな」
そう言って俺は雪をお姫様抱っこして目的地まで運んだ。
火の里 桜吹雪 @sakurafubuki
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